課題名・オゾンを利用した廃プラスチックからのポリ塩化ビニル(PVC)の選択的除去
代表者:広島大学環境安全センター 西嶋 渉
概要:廃プラスチックのリサイクルにおいて大きな障害となっている含有塩素の問題を解決するために、混合廃プラスチックからPVCを選択的に分離する技術を開発することが要求されている。本プロジェクトでは、カーシュレッダーダストなどの粒状廃プラスチックと容器包装プラスチックのようなフィルム状プラスチックを対象に選択的分離技術の開発を行ってきた。昨年度までに基本的な技術開発は終了し、本年度はパイロットスケールでの検討を行いスケールアップ時に問題点を検討し、実用化を目指す。
課題名・砕石廃材と砥石廃材などを活用する非焼成セラミックス成形体の開発
代表者:近畿大学 在永末徳
概要:無機性の微粒子として、砕石業では砕石廃材(砕石微粉)、砥石製造業からは砥石廃材(砥石落ち粉)が多量に排出される。これらの無機系微粉、消石灰を超高加圧成形することによって非焼成セラミックスを製造し、タイルやレンガ等の建材リサイクル製品を製造することを目的としたプロジェクトである。昨年度までの研究結果から、砕石廃材と砥石廃材を組み合わせることによって、JIS規格を満たす優れたセラミックスが製造できることがわかっており、本年度は実用化に向けて、実機(4000トンプレス機)を使用した実製品サイズ(400mm角)の試験品による評価を行う。
課題名・廃石膏ボード等建設系廃棄物の再資源化に関する研究
代表者:広島工業大学 今岡 務
概要:石膏ボードは住宅建材を中心として大きな需要があり、解体工事によって発生する廃石膏ボードは2010年には176万トンに達する見込みである。一方で、リサイクルは進んでおらず大半が埋め立てられている。廃石膏ボードから破砕分離した石膏粉体(二水石膏)を加熱処理することにより、半水石膏の生産が可能である点に着目し、そのままの石膏粉体と半水石膏の道路舗装材料として利用可能性を検討する。同様に建設廃棄物として多量に発生するコンクリート塊を再生したRM材も含めて昨年度試験舗装を行っており、本年度は追跡評価を行うと同時に非吸水性無水石膏を混合したアスファルト混合物についても実用性を評価する。
課題名・鉄鋼スラグを用いた底質改善材の開発
代表者:広島大学大学院生物圏科学研究科 山本民次
概要:鉄鋼スラグは鉄鋼業から大量に発生し、様々な利用用途があるが、その発生量から考えると今後も色々な形でリサイクルを進めていかなければならない。本プロジェクトでは、鉄鋼スラグ(製鋼スラグ)が藻類の生長に必要なリン、ケイ素、鉄などの栄養分を水中にゆっくりと放出する特性に着目し、鉄鋼スラグ表面に微細藻類を増殖させ、ヘドロ化した海底底泥を浄化するための環境改善材を開発する。ここでは、「環境改善材(微細藻類付着鉄鋼スラグ)」⇒「光合成による酸素放出」⇒「細菌の活性化」⇒「ヘドロの分解」というプロセスが効率的に進むかどうかを評価し、環境改善材を製品化することを最終目標としている。
課題名・医療系廃棄物の適正処理促進に向けた支援システムの構築
代表者:広島大学大学院工学研究科 岡田光正
概要:医療系廃棄物には感染性廃棄物が含まれることから、病院における適正な分別・管理が必要であるが、院内にガイドライン等がある病院は半数程度である。本プロジェクトは、病院での医療系廃棄物の取扱マニュアル作成支援を通じて医療系廃棄物の適正管理を促進することを目的としている。昨年度2大病院においてマニュアル作成支援を行ったが、本年度はそのノウハウを中小医療機関へも適用できるように整備すること、医療機関が個別マニュアルを適正に運用するための広報・支援事業や廃棄物処理業者との情報交換の場を提供するための制度作りを行う。また、在宅医療廃棄物や期限切れ薬剤等に関する実態調査を実施して、在宅医療廃棄物等を含めた医療系廃棄物の適正処理に向けた取り組みを始める。
課題名・廃食油のターボジェット装置への応用
代表者:広島国際学院大学工学部 佐々木 健
概要:食用廃油は、バイオ燃料に変換され、ディーゼルエンジン車の燃料や発電燃料として使われ始めている。この方式は今後も拡大していくことが予想されるが、ディーゼルエンジンを使ったバイオ発電では廃熱利用が困難であることも含めて、発電効率が低い。本プロジェクトは、食用廃油のさらなる効率的なエネルギー利用方法を開拓するためにターボジェットエンジン駆動のために廃油を利用することを目指す。本プロジェクトでは、バイオ燃料だけでなく、直接廃油を燃料とする方式を試みると同時に廃熱利用を行い、トータルとしてのエネルギー効率の向上を図る。
課題名・工業用ゴムチップを用いた防草マットの開発
代表者:福山大学 冨田武満
概要:自動車や様々な家電生産現場などから発生する廃ゴムや廃タイヤなどのゴム系廃棄物は主としてサーマルリサイクルされており、マテリアルリサイクルは少ない。本プロジェクトでは、廃ゴムを緑化基盤材にマテリアルリサイクルすることを目的としている。昨年までの検討で、太陽熱の吸収効果による冬場の草本植物の生育促進や有機質な土壌での改良効果が認められるなどの有効性が確認された。しかし、ゴムチップを環境中で使用することは現実的には困難であるので、これまで確認された効果を生かす形で、廃ゴムを原料とした防草マットを開発し、その効果を検証する。
課題名・有機性廃棄物を原料とした機能性炭化物の製造とリサイクルシステムの検討
代表者:広島工業大学 今岡 務
概要:廃カキイカダの処分・利用は広島県では大きな課題である。竹は豊富な珪素を含み、カキや魚の餌となる珪藻の基本骨格を形成する主要成分であることに着目し、本プロジェクトでは、「廃竹」⇒「珪酸イオン溶出」⇒「珪藻増殖」⇒「カキ、魚類生産」というステップによる漁業廃棄物を漁業のために活用する新しい利用方法を開発する。廃竹から効率的に、長期間にわたって珪素を溶出させるために炭化させ、コンクリート固化により竹炭添加ブロックを製造する。昨年度までに、竹炭添加ブロックへの適切な竹炭添加量の評価を行い、珪酸イオンの溶出を確認した後、竹炭添加ブロックを実際の港湾区域へ設置した。今年度は、竹炭添加ブロックの珪藻床としての効果ならびに魚に対する蝟集(いしゅう)効果について検証する。
課題名・湿潤系有機性廃棄物のリサイクル推進に向けた簡易分析法及び排出源データベースの開発
代表者:広島工業大学 今岡 務
概要:食品廃棄物などの湿潤系有機性廃棄物は、その特性に応じて堆肥化、飼料化、エネルギー利用などのリサイクル形態を選択することが現実的である。そこで本プロジェクトでは、適切なリサイクル方法を選択する支援ツール開発と同時に湿潤系有機性廃棄物の発生源データベースを構築する。昨年度までに、廃棄物の特性把握のための簡易測定手法の確立と発生源情報のデータベース化を行った。本年度は、食品系廃棄物等を対象に簡易測定手法の分析精度の向上を図るとともに、より多くの有機性廃棄物の廃棄物発生源情報の蓄積を行い、汎用性のあるデータベースの確立を目指す。
課題名・有機性廃棄物エタノール化リサイクル実験事業
代表者:(株)センタークリーナー 大濱正歴
概要:食品廃棄物などの有機性廃棄物の資源化では、堆肥化がよく用いられているが、生産された堆肥の農地での受け入れには限界がある。有機性廃棄物は一般に生分解性高いことからメタン発酵をはじめ様々な発酵プロセスでバイオガス発電や物質生産が検討されている。発電や焼却に伴って発生する廃熱は有効に利用されていない場合が多いことに着目し、本プロジェクトではバイオガス発電で発生する廃熱を、発酵プロセスによる有機性廃棄物からのエタノール生産に活用することによって、コスト上の問題がクリアされていないエタノール生産の実用化を目指す。
課題名・トリアセチルセルロースの再資源化技術ステムの開発
代表者:広島大学環境安全センター 西嶋 渉
概要:広島県では液晶ディスプレイやプロジェクションテレビなどエレクトロニクス分野の工場が数多くあり、そこから排出されているセルローストリアセテート(通称TAC、トリアセチルセルロース)は難リサイクル材としてそのほとんどが埋め立て処分されている。TACは1工場あたり数十(トン/月)排出されており年率40%で急増している素材でありリサイクル技術の確立が急務となっている。本プロジェクトは、生物由来の素材であるTACの難燃性、耐熱性、機械的強度が高いという物理化学的特性を生かし、有機フィラーや耐熱プラスチックとして再生する技術を開発することを目指す。
課題名・水素―メタン混合発酵プロセスを核とした食品産業廃棄物からのバイオガス回収システムの開発
概要:食品産業等から大量の排出される有機性廃棄物は、主として堆肥化によりリサイクルされている。一方で生産された堆肥の農地での受け入れ量には限りがあることも事実であり、他のリサイクルの選択肢が要望されている。発酵プロセスによる有機性廃棄物のバイオガス生産は、有力な代替リサイクル手法と考えられるが、発生する排水や残渣の処理がコストを押し上げている。そこで本プロジェクトでは、堆肥化施設に水素-メタン混合発酵処理施設を併設することによって、堆肥化施設に持ち込まれる有機性廃棄物を特性に応じて堆肥化とバイオガス化に振り分け、発酵処理施設から発生する排水や残渣を堆肥化施設で利用することによって発酵プロセスのコストを押し下げ、実用的なシステムを構築することを目的とする。
課題名・堆肥化施設の脱臭に関するコスト低減手法の開発
概要:堆肥化は食品系廃棄物の主要なリサイクル手段であるが、堆肥化施設からの臭気問題を解決することが必須である。脱臭設備においては、換気風量が建設・運転コストに大きく影響するが、設計マニュアルでは換気回数は10回転/容量/hと非常に大きな値が設定されている。本プロジェクトでは、まず実施設内の臭気成分の分布状態等の実態調査を行い、堆肥化施設内の空気の流動状態を把握する。次に風洞実験ならびにシミュレーション解析を用いて、真に必要な換気風量を決定することを通じて、脱臭設備の効率的な使用に向けたデータを提供することを目指す。
課題名・浄水由来無機汚泥のリサイクルシステムの開発
代表者:広島大学環境安全センター
概要:浄水場から発生する浄水汚泥のリサイクル方法の一つに園芸・農業用土利用がある。しかし、浄水汚泥は多量の凝集剤(通常アルミニウム化合物)を含み、マンガン、砒素なども濃縮されていることから、利用が進んでいない。本プロジェクトは、この浄水汚泥から凝集剤成分やマンガン、砒素などを抽出除去、あるいは凝集成分等を不溶化した後造粒することによって園芸・農業用土にリサイクルすることを目指している。昨年度までの検討結果から、酸洗浄によりアルミニウムやマンガンの含有量を市販の園芸土レベルまで低下でき、一方でベントナイトを用いて造粒することによりそれらを不溶化できることがわかっている。しかし、実際の植物の育成試験からは、洗浄剤の残留やベントナイトのナトリウムが生育阻害を引き起こすことが示されており、本年度はこれまで得られた基礎的な技術を元により使用する薬品量の低減、実用的な洗浄方法など実用的な園芸・農業用土製造技術を開発し、物理化学的な土壌の特性試験、育成試験を行う。
課題名・汚泥再生資材を用いた環境配慮型コンクリート製品の製造技術
代表者:広島大学大学院工学研究科 河合研至
概要:建設現場において大量に発生する建設汚泥のリサイクルは急務の課題である。本プロジェクトの目的は、天然骨材を用いたコンクリートと同等の性能を有する建設汚泥骨材コンクリートを開発し、コンクリート製品や構造用コンクリートに利用することである。昨年度までに、建設汚泥の混入割合を主たる変数としてコンクリートの基礎的な力学特性を把握し、混入割合によっては天然骨材コンクリートと遜色のない力学的性能を有することを確認した。本年度はこれを受けて、実用化を目指した汚泥骨材コンクリートの材料性能、鉄筋等を配した部材レベルでの構造的性能を評価し、コンクリート2次製品メーカーと共同でコンクリート製品の試作品を製造、性能評価する。
課題名・多孔質鉄鋼スラグ塊への微生物固定と海環境改善
代表者:広島国際学院大学工学部 遠藤敏郎
概要:鉄鋼業から大量に排出される鉄鋼スラグの有効利用方法として、鉄鋼スラグから多孔質スラグ塊を製造し、ここに光合成菌を固定化することによる海域底泥浄化、スラグ塊から溶出する珪酸イオンによる藻類・底棲生物の生息促進を目指したプロジェクトである。すでに浄化に効果的であることが確認されており、今年度は海域での藻類・底棲生物の増殖を検討し、多孔質体の低コストの製造方法について検討する。
課題名・生分解性感温性ポリマーを用いた無機汚泥の新規な脱水技術の開発
代表者:広島大学大学院工学研究科 迫原修治
概要:無機性汚泥は、リサイクル率の低い産業廃棄物の一つに数えられ、リサイクルのためには中間処理における高効率な脱水技術の開発が必要である。本プロジェクトでは、無機性汚泥として浄水場から発生する浄水汚泥を取り上げ、温度に応じてその性質を親水性から疎水性、疎水性から親水性に変化する感温性ポリマーの性質を利用して、効率的な脱水技術を確立する。昨年度の検討から感温性ポリマーが難脱水性である浄水汚泥の新しい脱水技術として利用可能であることが明らかとなっており、本年度はより環境フレンドリーな生分解性感温性ポリマーを開発することを目的とする。
課題名・CCA建築廃材の処理技術の実用化
代表者:広島大学環境安全センター 西嶋 渉
概要:建築廃材には、防虫、防蟻の為CCA処理(木材中にCr,Cu,Asを含浸)されたものが多数あり、30~40万m3/年の発生が予想される。本プロジェクトでは、CCA処理剤からCCAを除去し、かつ木材繊維にダメージを与えない方法を開発し、処理残渣を製紙原料としてリサイクルすることを目的としている。昨年度の検討で、過酸化水素と水酸化ナトリウムを用いた逐次処理で90%以上のCCAの除去率が得られることが明らかとなっており、電析によって抽出液中からCCAを回収できることもわかっている。本年度は技術の実用化のために、さらにCCAの除去率を高める処理残渣の安全性を高め、製紙材料としての可能性を評価する。
課題名・砕石微粉を活用した教材用陶芸粘土の開発
代表者:広島大学大学院工学研究科 鈴木裕之
概要:砕石業で大量に発生する砕石廃材(砕石微粉)は、粘土の骨材として利用可能な数ミクロン以下の微粉末を大量に含んでいる。一方で、天然の陶芸用粘土は枯渇の危機にあるとされている。そこで本プロジェクトは、砕石廃材を骨材として活用し、教材用陶芸粘土を製造する技術開発を行う。砕石廃材は、粘土骨材の基本的用件は保有していると考えているが、天然粘土に含まれる粒径10μm以下の板状カオリナイトや、低融点の液相発生成分に乏しいなど適切な助剤の添加が開発ポイントになると考える。
課題名・画像解析による飲料容器廃棄物の選別技術の開発
代表者:広島国際学院大学工学部 渡邊真彦
概要:廃棄物は単成分で発生する場合には再資源化が容易な場合が多いが、様々な混合物として発生する場合がほとんどである。このような廃棄物では選別がきわめて重要な役割を果たすが、金属類の選別などを除くと機械化されておらず、人間の目による手選別が行われている。飲料容器廃棄物からのペットボトル、アルミ缶、スチール缶、ガラスビンの選別工程、さらにガラスビンの色選別工程においても、アルミ缶、スチール缶の機械選別を除くと手選別が行われており、非効率、高コストである。本プロジェクトでは、この手選別工程を機械化するために、高感度CCDカメラと画像解析装置を用いた選別装置を開発することを目的とした。