【課題名】広島県特産品副産物における菓子材料実用化に向けた加工技術の開発
【代表者】株式会社にしき堂 ・ 西井 政隆
【概要】広島銘菓もみじ饅頭に使用するこし餡の副産物である小豆皮を,菓子材料や食品全般へ有効利用するための加工技術を開発し,企業での技術実証を行う。前年度までの研究で,小豆皮の微粉砕加工技術を検討し,菓子材料への利用が可能であることを確認できたため,処理が簡便で菓子への利用・保存がしやすい加工(粉砕・乾燥)方法を実験室規模で検討後,工場規模で実証するとともに,製品化に向けた試作を重ね,実際の販売商品に活用することを目標とする。
具体的には以下の項目について検討する。
1)小豆皮の加工品の品質向上のための加工方法の改良。
2)小豆皮の加工品を用いた菓子の商品化に向けた加工方法の確立。
3)勉強会開催による菓子業界への副産物の有効利用に関する情報提供と技術移転による副産物を利用した製品化支援。
【課題名】高温好気発酵技術を用いた、高効率化を実現した小型減容化装置の開発・評価
【代表者】日本ミクニヤ株式会社中国支店 ・ 大森 誠紀
【概要】国内では、水処理後の余剰汚泥の処理費用の高騰が課題である。弊社では、農業集落排水施設における余剰汚泥の減容化に取組んでいる。現在、広島県および島根県の5か所で減容化装置を稼働させ、維持管理を行っている。本減容化装置は高温好気発酵分解技術であり、副資材として杉チップを活用することで好気環境下の微生物の活性化を促進し、余剰汚泥を24時間で95%減容化するものである。
本研究事業では、副資材として竹チップを利用することによる装置の高効率化を目指し、発酵分解環境の把握、そして複数台導入×地域性の拡がりにおける維持メンテ費用の軽減もあわせて目的とする。以下に、研究事業概要を示す。
平成28年度の成果を踏まえ、安定して高効率処理(現状の汚泥量1.5倍負荷)のできる小型減容化装置を環境・土壌等の計測機器・装置製作の事業者と協同して開発し、評価を行う。あわせて発酵槽内の環境把握を行う。有機質肥料である残渣の現地への普及に向けた利用促進を図るため、実際の畑地でコマツナあるいはハクサイを用いて、残渣の有効利用技術を確立する。最後に想定する市場として、余剰汚泥の排出事業者および産廃・一廃の処分業を保有した事業者等とする。
【課題名】使用済自動車の有用物回収-破砕・分別連続処理システムの開発-
【代表者】株式会社荒谷商会 ・ 遠藤 敏郎
【概要】使用済み自動車の電気系統部品には、銅・真鍮等の有価金属、高価な電子基板、等々が多用されており、“きめの細かい分別・回収”-「リサイクルの質向上(経済産業省)」-により飛躍的に採算性が向上することを、昨年度報告で明らかにした。きめ細かい分別・回収のためには自動車リサイクルの大部分を担う中小の企業が導入可能で労力の軽減も可能な分別・回収機器の開発が不可欠である。
本実証研究では、トルネード破砕機、水流分別槽の性能、効率性を踏まえて、破砕物の自動搬送、樹脂片除去機能を付加した「破砕・分別連続処理システム」を開発する。本システムの安全性、汎用性を確認した上で、本社として事業化を進め、その実績を同業他社に提示し、連携を通して本システムの改善、更には委託製造・販売を目指す。
自動車の制御系の高度化に伴い、電気系統部品の有用物回収は採算性確保の面からも一層重要となる。本実証研究の成果が中小のリサイクル事業者に与える影響は少なくないと判断している。
【課題名】醤油製造過程の残渣を主体とした機能性「鶏餌」の開発
【代表者】近畿大学工学部 ・ 野村 正人
【概要】日本古来の調味料の一つである醤油は、各々の地域で消費者の好みに合った風味のあるものが特産品の一つとして生産されている。これらの製造過程で廃棄されている粕には有効成分の遊離アミノ酸(Tyr.,Glu.,Phe.,Leu.,Asp.)が豊富に含まれている。一方、広島県の特産品である牡蠣、檸檬及び蜜柑から廃棄される殻及び果皮の有効活用については、未だ安定した利用法が確立されていない。そこで今回、申請した研究事業は醤油粕中の有効成分を活用した新たな鶏の補助餌の開発を行うものである。醤油粕以外の廃棄物中に含まれている物質については、すでに、申請者らによりその機能性として有効性が十分に確認されていることから、高付加価値と成り得る卵の生産向上と品質維持が伴う補助餌として、養鶏農家へ提案できるものと考える。
【課題名】有機性廃棄物の減量化・リサイクルに関する研究
【代表者】 県立広島大学生命環境学部 ・ 西村 和之
【概要】平成27年度の広島県を対象とした産業廃棄物のフロー分析では、有機、無機を含めた“汚泥”は、10.9万tの移出と13.4万tの移入があり3万t弱の入超であることが示された。有機無機を含めた“汚泥”が域内に流入する理由は、県外に管理型処分場が少なくコスト的な優位性があることと、有機性汚泥であれば肥料化処理等のリサイクル事業者が好まれるためと考えられた。従って、有機無機を含む“汚泥”のさらなる資源化の促進により、4万t(平成26年度)の最終処分量を削減して埋め立て処分場の延命化を図ると共に資源循環の強化を図ることが求められる。
以上のことから本研究では、広島県の廃棄物処理事業の“強み”のさらなる強化を目指して、資源化技術が多様化しつつある“有機性汚泥”を含む有機性廃棄物に着目し廃棄物処理業界の見解や要望を確認しつつ広域移動の要因のより詳しい調査と強みを活かして弱みを補う方法を検討する。また、有機性廃棄物の資源化方法として需要が増えつつある“燃料化”に着目した実験的検討を試みる。
【課題名】かき殻による機能性壁材の開発
【代表者】 丸栄株式会社 ・ 沖野 靖将
【概要】平成27年度の事業において,かき殻の壁材の基礎設計を確立し,販売ルートの開拓と製品化に伴う資材検討を行う中で,スケールアップについて課題が出てきた。
本研究では,装置の大型化に伴う混合方法,圧送方法の検討と並行して,光触媒配合による機能性向上の検討を行う。
・最終目標の1000Ⅼ/バッチの製造に向けたスケールアップ実験
ローラー塗り用・コテ塗り用製造について,100~300Ⅼを軸に最適な装置の選定を行い,継粉などのない品質の安定した資材投入順序,混合方法を検討する。
・輸送装置を使った練材の圧送実験
撹拌容器・一時保管容器より取り出しを行う際の吸引圧送装置を検討する。
・ローラー塗り用・コテ塗り用の量産予定設計品のJIS規格等による評価
JIS A 6909 建築用仕上塗材規格による評価,耐火性能試験,粘性評価,粒度分布測定を行う。
・光触媒配合による機能性向上
光触媒の選定,配合設計を行い,光触媒配合試作品の耐候性試験,セルフクリーニング機能評価を行う。
【課題名】牡蠣殻の特性を利用した抗菌剤の研究開発
【代表者】 新まるせ工事株式会社 ・ 土村 学
【概要】平成28年度の研究にて牡蠣殻の除菌・抗菌性は認められた。平成29年度は、その成果を損なわず、最適な製造プロセスを決定する為に以下の研究を行う。
① 28年度において詳細な条件設定が出来なかった焼成工程について、牡蠣殻の除菌性の効能維持を念頭に焼成温度の詳細な温度範囲を決定する研究や焼成時の燃焼効率の為の研究を行う。
*示差熱試験・X線回析測定などを行う。
*焼成方法の条件設定試験(電気炉・ガス炉・混合ガス炉・気流試験など)を行う。
② 28年度において粒子の大きさ別の除菌・抗菌性の効果は判明した。この成果から、粒子が小さいほど効果が短時間で認められる事がわかった。この成果を元に、より細かい粒子が出来る粉砕技術の開発を行う。
*ボールミル方式では20㎛以下の粒子を回収する場合に空気中に飛散し回収に手間取る事と20㎛以下の粒子の割合が少ないという問題を解決する方式として気流方式の開発を行う。
【課題名】再生砕石の分級技術による品質の安定化とフィラーの資源化技術の開発
【代表者】 山陽工営株式会社 ・ 新畑 貴史
【概要】昨年度の調査研究の結果、今後30年でコンガラ発生量は増加傾向にあるが、再生砕石等建設資材の需要は西暦2000年ごろをピークに減少していることが分かった。このため、早急に再生砕石の利用拡大を図る必要があるが、利用拡大を図るためには、再生砕石の高品位化が重要である。高品位な再生砕石を製造するためには、再生砕石の摩砕・分級技術が必要である。また,この際に分離された粒径の小さな砂やセメントが不純物(フィラー)として多く発生するため、フィラーの再利用も課題となっている。よって、今年度は「高品位再生砕石の製造」及び「フィラーの資源化」について検討する。
① 高規格再生砕石の製造
再生砕石を摩砕処理後分級技術により不純物(フィラー)を分離し、高品位化を図る。
② フィラーの資源化
フィラー中の有害物質である六価クロム等重金属類の除去(水洗、酸洗浄)、フィラーのセメント代替及び酸性廃水(メッキ排水処理)中和剤としての活用を検討する。
【課題名】燃え殻の脱塩技術に関する開発研究
【代表者】 株式会社ヒロエー ・ 折出 幸二
【概要】産業廃棄物燃え殻の有効利用については,セメント原料化に加え,骨材としての利用(溶融スラグやセメント固化),有価金属回収等が知られているが,エネルギー使用によるコスト増,バージン材との競合,等の現状がある。燃え殻中の含有塩類濃度が問題となる場合が多いことから,効率的な脱塩技術の開発が望まれている。
本提案では,ファインバブルを用いて燃え殻に含有する塩類を効率的に水洗除去する技術を開発する。燃え殻の効果的な脱塩が可能となれば,セメント原料の受入れ料金の低減が期待できる。また,品質をある程度一定に保つことができれば,産廃の燃え殻というだけで忌み嫌われてきた利用先への理解につながる可能性もある。最終処分量の削減に貢献でき,また,最終処分する場合においても,浸出水処理負荷の低減や早期安定化への寄与も期待される。
【課題名】炭素繊維強化プラスチックのリサイクルに関する研究
【代表者】 東広商事株式会社 ・ 粟屋 正和
【概要】今後、多量に排出されることが予測される炭素繊維製造残渣、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)廃棄物については、現状はリサイクル技術が確立されておらず、大部分は、埋立されているため、現状の処理・処分、リサイクルの実態を把握し、炭素繊維及びCFRP廃棄物の最適なリサイクル技術・体制について研究開発を実施する。
(実態調査)
① 製造事業者、炭素繊維及びCFRPの特質・形状、生産量、用途等
② 炭素繊維及びCFRP廃棄物のリサイクルの現状を把握する。
(研究開発)
① 現状のリサイクル手法を勘案して、CFRPから樹脂を炭化して炭素繊維を分離し、分離した炭素繊維がバージン炭素繊維と同様に活用できるか否かを研究するとともに、併せて費用対効果についても検討する。
② 今後、多量に発生することが予測される炭素繊維製造残渣(糸くず等)や、成形CFRPの廃棄物を、セメント、製鉄・鉄鋼(電気炉)の原燃料として活用するための前処理技術(適正な破砕機等の選定又は改造)を開発する。
【課題名】廃タイヤ粉砕により発生するナイロン繊維のリサイクル技術の開発
【代表者】 株式会社下岡タイヤ産業 ・ 下岡 直子
【概要】㈱下岡タイヤ産業(以下 下岡タイヤ)ではタイヤを粉砕処理しゴムチップと金属を分離回収する際に,タイヤに入っているナイロン繊維と繊維に接着しているゴムチップおよびビードワイヤー(鉄)からなる副生成物が300トン/年発生している。現時点ではこの副生成物のサーマルリサイクルにより熱回収を行っている。予備実験として副生成物を高速攪拌ミキサー(1000-4000rpm)で分離する実験を行ったが,ビードワイヤーが繊維と絡み合っており分離できなかった。
本研究では副生成物からナイロン繊維を分離回収し,ビードワイヤーを除去する技術を開発することである。本年度は,第一段階として副生成物の塊を細かくして磁力選別や風力選別を行うことによりビードワイヤーを除去することが可能かどうかについて検討を行う。
【課題名】漬物の消費・賞味期限延長による廃棄物発生の抑制
【代表者】 広島県立総合技術研究所食品工業技術センター ・ 重田 有仁
【概要】事業系食品廃棄物等の年間排出量は1,927万tであり,その内,可食部分が330万tもある。また,一定の賞味・消費期限を残し,可食にも関わらず廃棄される「1/3ルール」といわれる商習慣も食品ロス増加の要因である。
本研究では,上記背景を基に,消費・賞味期限延長による食品ロスの低減に取り組む。消費・賞味期限を現在の1週間程度から1.5-2倍に延長することにより,上記商習慣の上でも廃棄量を低減させることができる。
本県では,特に漬物製造業界等において日持ちに関するニーズが高いことから,漬物(浅漬け)の日持ち延長に取り組むこととし,食品成分の影響や流通時の温度変動等を踏まえた上で,静菌作用を持つ日持ち向上剤の使用条件の最適化により,消費期限・賞味期限の延長,食品ロスの低減を図る。
【課題名】中古二次蓄電池リユース促進の為の省エネ電源システム開発
【代表者】 株式会社西日本エイテック ・ 大橋 昌弘
【概要】現在様々な機器に二次電池が利用されている。中でも鉛蓄電池はその歴史の長さや安定・安全性から輸送機器をはじめ施設用バックアップ電源として莫大な量が日々利用されている。また、これらの鉛蓄電池は複数個の電池セルを組み合わせたブロック電池として利用される事が多い。これまで定期メンテナンスなどでは全数を新品へ入れ替える措置がとられる事が多く、交換コストの増大や環境負荷への配慮から近年リユース電池への期待が高まっていたが、我々はこれまでに中古二次電池のリコンディションシステムを開発し、高所作業車用鉛蓄電池のリユースをビジネス化した。これに続き、二次電池性能診断装置の開発を行い、設備用二次電池の点検ビジネス、またその際に排出された低級二次電池の照明用等への水平リユースを推進してきた。しかしながら、これらの検査時にはさらに低級な二次電池が多量に余る。
今回の研究開発ではこれらの設備用としては利用不能な二次電池を農業用途で利用されている防蛾LEDランプの駆動などに利用出来る省エネ電源システムの開発と汎用時における省エネ性評価を目指す。
【課題名】リサイクル率が低い産業廃棄物の再生利用拡大に向けた研究
【代表者】 県立広島大学生命環境学部 ・ 崎田 省吾
【概要】広島県内から発生する産業廃棄物のうち,廃プラスチック類,ガラス陶磁器くず,および,がれき類は資源化率が全国平均よりも低く,最終処分量が依然として多い状況にある。本研究では,上記廃棄物を対象として,リサイクルが進んでいない原因を分析し,対応策を提案することによって資源化率の向上,最終処分量の削減を目指す。具体的には,以下の項目を検討する。
①廃プラ,ガラス陶磁器くず,がれき類等の排出実態および埋立てに回る理由や経緯の把握
②県内外の対象廃棄物におけるリサイクル技術の現状および処理価格の実態把握
③有効な技術導入に向けたシミュレーション検討
④有効なリサイクル技術の提案および施設整備コストの把握