平成28年度(2016)実施課題

実証1

【課題名】ボールミル法を用いた金属水銀処理システムの構築

【代表者】株式会社山陽レック ・ 賀楽 幸政

【概要】現在,国内の水銀の年間回収量は約77 tと推計されている。回収された水銀の約5 tはリサイクルされているが,余剰分は輸出されてきた。しかし,2013年10月に「水銀に関する水俣条約」が採択され,2020年までに水銀および水銀使用製品の輸出入が禁止され国内に余剰水銀が発生すると考えられるが,現時点では安定処理システムが実務レベルでは構築されていない。 本研究では,遊星ボールミル装置を用いて金属水銀と硫黄と反応させ,難溶解性で安定な硫化水銀を生成させる実用技術を開発する。平成26, 27年度研究によって,実験室レベルでは金属水銀の安定化処理に成功したことから,実用化を目指す。具体的には,①実証装置を用いた金属水銀の最適処理条件の決定,②実証装置を用いた金属水銀処理のコスト計算,③実証処理における水銀蒸気や粉じん等による作業環境安全性の確認,④水銀処理における国その他関係機関の情報収集,および県内外における廃水銀処理需要に関する情報収集,を実施する。

実証2

【課題名】地域木質系廃棄物処理を志向した原料チップ連続供給熱交換ボイラーの開発

【代表者】長岡鉄工建設株式会社 : 坪島 薫

【概要】産業廃棄物を処理して出来たチップや木材の廃棄物を燃料として利用した熱を、イチゴハウスの暖房に利用する。試作したボイラーを平田観光農園に設置して有効性の実証実験を行う。具体的には平田観光農園で発生した果樹園の樹木も燃料として利用する。 特徴として燃料自動供給装置を設置し自動運転を可能にすることで、連続運転が出来る等、利用範囲が拡大出来る。また、現在利用しようと考えているチップを製造している事業者はチップの利用状況が少なく殆どバーク位しか利用されていないので、産業廃棄物の利用範囲が拡大することにつながる。CO2の排出が無いので環境にも優しい。 3年目は商品として十分な性能を発揮する為に、是までの問題点の解決とより性能や機能の向上を目指す。安全面や使いやすさを向上する、今回は遠方監視装置も導入して何時でも運転状況の確認やエラーが発生した時自動でメールが発信できるように考える。

一般1

【課題名】広島県特産品副産物の菓子原料化技術開発

【代表者】 株式会社にしき堂 ・ 西井 政隆

【概要】食品製造における副産物は廃棄物として処理されることが多く,有効利用は食品企業にとっての課題である。副産物には有用成分も残っており,食品ロスを低減させる意味からも,再び食品原料として利用することが望ましい。 現在,菓子業界では,広島県菓子工業組合が主体となり,次回の全国菓子大博覧会に向けた勉強会を開催している。もみじまんじゅうの製造工程で排出される小豆の皮等,広島県特産品の副産物を有効利用しようという動きがあり,廃棄物の減量化かつ新特産品としての知名度向上が期待されるため関心は高いが,副産物についての菓子原料適性に関する情報が乏しく,取り組みは行われていない。本研究では,広島県特産品副産物の加工処理技術開発と菓子原料適性把握を行い,勉強会を通じて県内企業へ情報提供することにより,副産物有効利用の取り組みを推進する。

一般2

【課題名】副資材として竹チップを活用した場合の高温好気発酵技術を用いた減容化装置の高効率化

【代表者】 日本ミクニヤ株式会社中国支店 ・ 大森 誠紀

【概要】日本国内や海外の新興国では、水処理後の余剰汚泥の処分費高騰に課題を抱えている。弊社では、地区内の小規模公共下水道、農業集落排水施設および食品残渣排出事業施設における余剰汚泥および生ごみの減容化に取組んでいる。現在、広島県および島根県の5か所で減容化装置を稼働させており、維持管理を行っている。本減容化装置は高温好気発酵分解技術であり、副資材として杉チップを活用することで好気環境下の微生物の活性化を促進し、余剰汚泥を24時間で95%減容化するものである。また残渣として取り出す杉チップは肥料特性を有するものである。 以上のことから、本研究事業では、副資材として竹チップを利用することによる装置の高効率化を目指し、発酵分解環境の把握を目標とする。また,残渣の農業への利用法を明らかにする。 本研究事業により、高効率な減容化装置の開発ができれば、処理量・処理能力の向上や維持管理費の低減を図ることが可能となる。

一般3

【課題名】バーク代替副資材の調査並びに代替材による製品の評価

【代表者】 久米産業株式会社 ・ 藤原 多見夫

【概要】久米産業株式会社は、食品産業の生物系廃棄物の堆肥化に、副資材としてバークを活用してきたが、近年の木質バイオマス発電の本格化により、バークの安定調達が見通せなくなってきた。バークに依存しない堆肥化は勿論可能であるが、肥料的性質の強い堆肥に仕上がるため、過飽和市場への割り込みや販路拡大は容易でない。バークを副資材にする場合は、6か月以上の発酵期間を要するなど不利な点もあるが、置換容量の増大など「土づくり」的性質の強い堆肥に仕上がり、環境保全型農業の推進に不可欠な資材として歓迎されるため、循環の輪の回転が滞らない利点がある。そこで、現在の品質維持を前提に、バーク代替材の調査とその活用方法を検討し、経営の安定化を図る。

一般4

【課題名】砕石汚土を用いた各種廃棄物とジオポリマーによるハイブリッド材料の開発

【代表者】 福山大学工学部 ・ 田辺 和康

【概要】本研究は,砕石工場から大量に発生している砕石粉と砕石泥土を有効利用することを目的に、環境にやさしいジオポリマー技術を利用した研究に取り組んでいる. 27年度は、「石粉を用いたジオポリマー舗装骨材」の実用化に向けて取り組んでいる。その成果は27年度の研究課題で報告しているように、石粉を人工骨材化する技術の確立はできている。今後の課題として、低コスト化に結びつくジオポリマー技術の開発が望まれている。 28年度は、「砕石泥土を用いた各種廃棄物とジオポリマーによるハイブリッド材料の開発」と題して、低コスト化に向けて取り組んでいく。具体的には、砕石泥土をインターロッキングブロックにリサイクルすることを目的として、①アルミノシリケート材に代わる低廉な廃棄物、②ジオポリマー溶液についても同様に低廉な廃棄物を用いた、ジオポリマーハイブリッドの材料開発について検討を行う。

一般5

【課題名】カキ殻リサイクル材のアサリ育成資材としての検討・評価

【代表者】 ラボテック株式会社 ・ 山田 寛

【概要】広島県では年間約6,000トンのカキ殻が余剰となっており、その処理処分が課題となっている。カキ殻の有効活用の一環として、魚介類養殖等の水質浄化材や栄養剤として利用されている例はあるが、広く普及している商品はない。本研究では、近年漁獲量が激減しているアサリに着目し、その育成資材としてカキ殻リサイクル材が利用可能であるかについて検討、評価を行うものとする。  昨年度に引き続き、カキ殻を活用したアサリ育成資材について現場実験及び室内実験を行う。現場実験ではカキ殻の粒径の違いや配合割合等を既存の育成資材を比較対象とすることにより1年間を通したアサリ生育状況について調査し、室内実験ではカキ殻設置による底質環境への影響を評価する。また、今年度は干潟の粒径(砂礫及び砂泥)によるアサリ生育の差異についても試験し、最良な設置条件についても評価する。 これらの結果を基に増殖のメカニズムやカキ殻の粒径や配合割合について検討し、最終的には同育成剤の製造等、事業化を図ることとする。

一般6

【課題名】燃え殻のリサイクルに関する研究

【代表者】 株式会社ヒロエー ・ 折出 幸二

【概要】株式会社ヒロエーでは、焼却能力4t/hのロータリーキルン炉による24時間連続運用により、1日あたり85tの産業廃棄物の焼却処理を行っている。焼却処理により、燃え殻が年間約3,500t、飛灰が約600t発生する。このうち飛灰については、中間処理を行いセメント原料にリサイクルを行っている。しかし、発生量の多い燃え殻については、塩分濃度が3,000ppmと高いこと、重金属が含まれる等により、産業廃棄物として埋め立て処分を行っている。 県内では平成25年度43,000tの燃え殻が発生し、約80%の34,000tが資源化されており,県内外で燃え殻のリサイクル技術の取り組みが進んでいると推定される。飛灰よりも発生量が多い燃え殻のリサイクル技術が確立すれば、廃棄物の削減、環境ビジネスの発展に寄与するものと想定される。 そこで、本研究では、数年後の実用化を目指した、燃え殻のリサイクルシステム構築に関する調査・研究を行うものである。主な検討内容は次のとおりである。 1)燃え殻のリサイクルの状況、リサイクルの課題の調査 2)燃え殻の成分分析 3)燃え殻のリサイクルシステムの検討 4)関係者による検討会議の実施 5)整理・とりまとめ

一般7

【課題名】牡蠣殻の特性を活用した抗菌剤の研究開発

【代表者】 新まるせ工事株式会社 ・ 土村 学

【概要】弊社は道路工事が主力事業であるが、工事に伴うアスファルトオイルなどの付着が車両の洗浄時に多大な時間を要する。この解決に洗浄剤を開発し販売もしている。この洗浄剤の希釈液はPH12の容液が必要である。PH12の容液として着目したのが牡蠣殻である。弊社試験で牡蠣殻の水溶液はPH12まで高める事が出来た。今回 この牡蠣殻水溶液の開発から 以前から言われている牡蠣殻の抗菌性や除菌作用についても試験してみた。結果は良好であり改正後の法律や石鹸協会の規準もクリアーしている。この結果を基に、抗菌・除菌を目的とした牡蠣殻製品の開発を試みる。  研究内容としては 大量であっても扱いやすく、保管管理も簡便な固形状の抗菌・除菌剤開発のために必要な牡蠣殻の粒子物形状別の効果のデータ取得を行う。このデータ取得のために下記の研究を行う。 ① 粒子の形状の把握(大きさ別の抗菌性データ取得) ② ①のでデータを基に違った大きさの粒子混合による抗菌性のデータ取得 ③ 大量に長期保管した場合の固形物の変化 ④ 利用状況での試験(公園等の砂場に使用した場合の除菌性のデータ取得)

一般8

【課題名】自動車用ヒューズボックス、各種コントローラー等からの銅など有用金属の回収技術

【代表者】 株式会社荒谷商会 ・ 遠藤 敏郎

【概要】平成27年度に「自動タガネハンマリング破砕機」、「自動搬送加熱処理炉」を開発し、エンジンコントローラ等からの銅、アルミ等の金属、電子基板の分離回収に有効であることを明らかにした。 このため本年度は、処理が比較的困難なヒューズボックスに対象を絞り、荒谷商会規模のリサイクル企業での実用化を目指した新規トルネード破砕機の機能設計・製作を行う。具体的には、①破砕機のスケールアップ、②対象物の投入、破砕、排出の自動化、③排出物から、銅配線と樹脂破砕片・鉄類の分離の自動化、を図り、連続処理が可能な構造とし、分離回収の処理能力の向上を図る。 40台のヒューズボックスから12kgの純銅配線が回収でき、この売却価格は、単価を500円/kgとして、約6000円となる。 現有破砕機(5kW)では、人手による運転時間は20分位で、電気料金は高々10円である(低温破砕の場合には、冷凍庫運転が必要となり、12円増となる)。 現有破砕機でもある程度の収益性は確保しており、破砕機のスケールアップと自動化等により更なる採算性を確保できると判断している。

一般9

【課題名】再生資源の利用拡大に向けた基盤研究~建設系廃棄物を第一事例とする調査研究~

【代表者】 株式会社マエダ ・ 広田 成巳

【概要】コンクリート殻などの建設系廃棄物は、戦後の経済成長期に建設された建築物等が老朽化して建替え時期を迎え、今後ますます排出量が増加すると見込まれている。 一方、これらを原材料として生産される骨材等の再生資源は、その品質(物理的・化学的性状)のばらつき、規格化や再生品市場の成長の遅れ等により、充分利用が進んでいない現状にある。 このため、関係者が連携して以下に示す基盤研究を実施する。 (1) 再生骨材等の規格化に向けた性状・品質等の基礎調査 (2) 再生資源の利用拡大のための手法検討 (1)では品質規格や性状並びに受入から出荷までの実態を把握した上で、(2)で課題を抽出し、先進的な取組みを踏まえた上で利用拡大に向けた方向性を検討する。この成果を手引書として取りまとめ関係者への配布を行うことにより、再生資源の利用拡大に必要な基盤的技術・知見の集積・展開を図るとともに、広島県リサイクル製品登録制度への反映方法を検討する。

一般10

【課題名】使用済み紙おむつの効果的なリサイクルシステムの構築

【代表者】 県立広島大学生命環境学部 ・ 崎田 省吾

【概要】高齢化の進行に伴って,使用済み紙おむつのリサイクルが望まれるが,衛生面の問題,分別の手間,収集運搬体制の未整備,リサイクルによるコスト上昇の懸念等によって,リサイクルが進んでいない。 本研究は,広島県における使用済み紙おむつの効果的なリサイクルシステムの構築を目的とする。まず,県内の使用済み紙おむつ排出量,処理・処分方法,関係者のリサイクルへの認識・意向等を,県内の医療施設・介護施設,自治体等へのアンケート・ヒアリングによって整理し,課題を抽出する。次に,県内の具体的な地域・地区でのリサイクルを想定したフィージビリティスタディを実施し,事業化の可能性や行政支援方策を検討する。以上の検討をもとに,排出事業者,リサイクル事業者,ならびに自治体の対応課題をまとめ,導入可能な望ましい使用済み紙おむつリサイクルシステムを提案する。使用済み紙おむつのリサイクル実現によって,焼却ごみ量や最終処分量の削減につながる。