【課題名】牡蠣殻による機能性壁材の開発
【代表者】丸栄株式会社 ・ 沖野 靖将
【概要】平成29年度の研究事業において,かき殻壁材のローラー塗りタイプとコテ塗りタイプの2種類の内装塗材の設計と生産プロセスを確定させた。一方,外装用としての能力には付着性能と耐候性の面で課題が残った。
本研究ではJIS及び発熱性試験の結果により抽出した問題点の解決を図り,外装用兼用の機能性付与配合の開発を行う。
(1)セルフクリーニング性能がルチル型でも十分に発揮されたことから、無機系樹脂を利用した配合設計による耐候性の向上を図る。
①無機樹脂仕様のローラー塗り用,コテ塗り用の外装向け機能性付加の耐候性試験
②無機樹脂仕様のローラー塗り用,コテ塗り用の外装向け機能性付加のセルフクリーニング性能試験
④コテ塗り用,ローラー塗り用の公定規格品質性能適合性の評価
(2)配合割合検討による難燃性能の評価を行う。
①ローラー塗り用の難燃性の向上
②コテ塗り用の難燃性の向上
【課題名】牡蠣殻の特性を利用した抗菌剤の研究開発
【代表者】新まるせ工事株式会社 ・ 土村 学
【概要】平成28年度の研究にて牡蠣殻の除菌・抗菌性が認められた。
平成29年度の研究にて焼成工程の詳細な条件が判明した。
平成30年度は、29年度で得られた焼成の条件を満たす焼成炉の設計条件を決定する為に以下の研究を行う。
① 平成30年度において焼成工程でガス流量のコントロールができなかった点を広島県立総合技術研究所 西部工業技術センターと共同にてガスの流量・配分率の研究を行う。
*流量計による火炎試験・サーモグラフィによる温度管理試験などを行う。
*過熱ポイントである水素と酸素の混合と燃焼試験を行う。
② 焼成炉内の温度ムラをなくし多数の牡蠣殻を均一に焼成する研究を行う。
*輻射熱盤の活用試験・外板の輻射熱封止の試験・断熱試験などを行う。
*ロータリーキルン方式の応用研究を行う。
③ 炉内温度を均一にするための余熱・排熱利用の研究を行う。
④ 火炎のポイントであるガスバーナーの選定試験を行う。
⑤ 焼成と粉砕の混合方式の研究を行う
【課題名】燃え殻の資源価値向上に関する研究
【代表者】株式会社ヒロエー ・ 折出 幸二
【概要】燃え殻の有効利用へ向け,ウルトラファインバブル水(UFB水)を用いて脱塩実験を行った結果,Clの除去については一定の見通しがついたものの,セメント原料化の受入れ基準が設定されている金属(Ti, Cr, Cu, Zn, Mg, Ca, Fe, Pb, Mn)含有率や処理水量(廃水量)については課題が残った。そこで,より資源価値の高い燃え殻を効率的に生産することを目的として以下の項目を検討し,システム構築の資料とする。
(1)低pH-UFB水を用いたClおよび重金属の除去実験
(2)燃え殻の成分変動に対応できるよう,含有成分の多様な燃え殻についてもUFB水による除去を検討する。
(3)実焼却炉での燃え殻,飛灰への元素移動状況の把握
(4)燃え殻含有元素の過熱脱離実験
【課題名】産業廃棄物焼却炉から発生する焼却灰の脱塩及び有害金属の分離に関する研究
【代表者】ツネイシカムテックス株式会社 ・ 水上 正善
【概要】近年、国全体にリサイクル意識が浸透してきたこともあり、廃棄物の再生利用率は高まり、最終処分される廃棄物の量は年々減少してきている。しかし、品目ごとに確認すると、いまだに最終処分率が高い廃棄物が存在しており、これらのリサイクルを進めていくことが課題となっている。
最終処分の比率が高い廃棄物は、燃え殻(30%)、ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず(21%)、ゴムくず(19%)となっており、産業廃棄物焼却炉から発生する燃え殻は他の廃棄物と比べてリサイクルが進んでいないといえる(環境省調べ)。
本研究は、当社が保有する産業廃棄物焼却施設から発生する燃え殻(焼却灰)をリサイクルするための技術を開発することを目的として、次の2つの技術について確立を目指す。
①焼却段階から焼却灰の品質を意識した燃焼コントロール技術
②焼却灰から塩分や有害金属を分離するための分離技術
上記の技術の確立に向け、燃焼状況と焼却灰の品質の因果関係の解明を目指すとともに、焼却灰の脱塩、重金属分離等の技術の検証を進めていく。
【課題名】上水汚泥の土壌改良材への適応に関する基礎的研究
【代表者】 株式会社水みらい広島 ・ 豊島 正久
【概要】本研究は、水道用水の浄水場から発生する汚泥と下水道の終末処理場から発生する汚泥を混ぜ、上下水混合汚泥の再生利用を目指すものである。また、上下水汚泥を混合するだけでなく、この汚泥に有用微生物を加えることで農作物用の土壌改良材を開発するものである。
実験内容は、まず上下水混合汚泥と有用微生物を配合させた土壌改良材を試作し、上下水混合汚泥を原料とする土壌改良材の試作を用いて有効性を検証する。また、土壌改良材の開発にあたっては、添加する種汚泥(有用微生物)を購入または探索し、土壌中の微生物叢や化学性状の変化を把握しながら、試作していくこととする。
【課題名】廃タイヤ粉砕により発生するナイロン繊維のリサイクル技術の開発
【代表者】 株式会社下岡タイヤ産業 ・ 下岡 直子
【概要】㈱下岡タイヤ産業(以下 下岡タイヤ)ではタイヤを粉砕処理しゴムチップと金属を分離回収する際に,タイヤに入っているナイロン繊維と繊維に接着しているゴムチップおよびビードワイヤー(鉄)からなる副生成物が300トン/年発生している。現時点ではこの副生成物のサーマルリサイクルにより熱回収を行っている。昨年度は副生成物のハンドリング改善のために,前処理として粉砕処理とペレット化処理を行った。粉砕処理については,装置を作製したが,改善点が多く課題が残っている。ペレット化処理については2社で計3回の処理実験を行い,良好な成績が出ている。
本年度は前年度課題の残った粉砕処理装置の改善を行う。また,2種類の前処理を行った副生成物のビードワイヤーの分離,除去技術の検討を行う。
【課題名】廃プラと金属屑(切削切粉)を活用したテント用支柱支持具の実用化研究
【代表者】 有限会社サンセイ工業 ・ 三宅 秀信
【概要】廃プラと帯鋸盤等粉末状切削切粉のリサイクル材料を活用し、加熱混練及び形成プロセスによるテント用支持支柱支持具を開発し、循環型社会を実現する。
本研究は、実現する課題を解決するため下記の3点について研究開発を行うものである。
1:廃プラスチック材料を過熱混錬する際の切削切粉配合比率の向上
・ローコスト及びコンパクトな支柱支持具の要件は、接着剤としての廃プラスチックをミニマム化し、切削切粉の重量比率を高めて製品重量の比重を高める必要ある。
・固形強度を確保する必要最低限の廃プラスチック比率と混錬条件(加熱温度、混錬速度、混錬圧力等)の最適化の検討
2:材料を過熱混錬する際の設備(シリンダーと押し出しスクリュー)の耐久性を確保する材料・形状の検討。
3:過熱混錬した材料を製品型に流し込み固形化する新技術加工の研究。
【課題名】廃LED照明(ランプ)の効率的解体選別システムの構築
【代表者】 株式会社こっこー ・ 美野 健二
【概要】蛍光ランプに代わり普及し始めているLED照明(ランプ)は、普及に伴い新たな廃棄物として排出し始めている。
廃棄されたLED照明(ランプ)は、手解体やシュレッダーでの破砕処理で廃棄物と有価物に選別されているが、その処理方法は、必ずしも効率良いものとは言えない。
今回の研究事業では、LED照明(ランプ)の今後の排出予測および解体後の廃棄物・有価物からの収益性を検討し、廃LED照明(ランプ)における有価物・廃棄物の効率的解体選別をシステムとして研究開発するものである。
【課題名】使用済み自動車車載LEDランプ類のリサイクルシステム構築の可能性の研究
【代表者】 株式会社荒谷商会 ・ 八畝田 論
【概要】近年LEDは車載用として各種ランプ類、オーディオ関連など幅広く採用され、最近の一般的な自動車では約200個のLEDが使用されている。今後、使用済自動車においてもLEDランプ類搭載車が増加し、そのリユース・リサイクル技術の確立が重要な課題となっている。
本研究は、自動車に搭載されているLEDランプ類の現状を把握し、①LED化の将来の見通しの調査及び解体容易化のための検討②車載ランプからの効率的なLEDの回収方法③再資源化のための技術開発及び事業化について研究を行うものである。
これらの課題解決のための研究手順は以下の通りである。
(1) 現在およびこれまでの車載ランプ類のLED化の状況と今後の見通しの調査
(2) LEDの回収方法の研究
(3) 事業化のための技術開発
【課題名】リチウムイオン電池リサイクルに関する研究
【代表者】 株式会社フラップリゾート ・ 廣瀬 敏典
【概要】現在普及が進んでいるリチウムイオン電池の廃棄処理に伴い、リチウムイオン電池に使用されている素材の回収技術を確立させ、汎用的システムとすることを目的とし研究を実施する。
リチウムイオン電池の焼成処理条件と含有有価金属の回収率との関連性を実施検証により考察したうえで、最適焼成条件を解明し、リチウムイオン電池のリサイクルシステム(物理的処理)を確立させる。
また、物理的リサイクル処理により回収された有価金属中の金属回収技術についても学術的な調査・検討を実施し、素材抽出技術を取り入れ、化学的なリサイクルシステム事業化の可能性についても検討する。
【課題名】漬物の消費期限延長,品質保持による食品ロスの低減
【代表者】 広島県立総合技術研究所食品工業技術センター ・ 重田 有仁
【概要】昨年度確立した日持ち向上剤の配合を基に,より漬物の味に与える影響の少ない配合比の検討や,野菜の緑色を保持するための品質保持剤の効果について検討を行う。さらに,容器内に調味液を封入していないパックタイプの漬物の日持ち延長についても検討する。従来品は漬け液を封入することにより酸化・微生物の増殖を抑制しているが,開封時の取扱いの容易さから,漬け液を封入しないタイプが増加しつつある。昨年度の研究成果を基に,調味液がなくても日持ち可能な新商品の開発・食品ロスの低減を目指す。
日持ち向上剤の配合比改善に係る基礎試験は食品Cで実施することとし,それらの成果を基に㈱猫島商店にて試作・課題抽出・改善を図る。併せて,各社において日持ちに係る課題改善が可能となるように,年度途中から広島県漬物製造業協同組合に成果情報を提供する。
【課題名】中古二次蓄電池リユース促進の為の省エネ電源システム開発
【代表者】 株式会社西日本エイテック ・ 大橋 昌弘
【概要】現在様々な機器に二次電池が利用されている。中でも鉛蓄電池はその歴史の長さや安定・安全性から輸送機器をはじめ施設用バックアップ電源として莫大な量が日々利用されている。また、これらの鉛蓄電池は複数個の電池セルを組み合わせたブロック電池として利用される事が多い。これまで定期メンテナンスなどでは全数を新品へ入れ替える措置がとられる事が多く、交換コストの増大や環境負荷への配慮から近年リユース電池への期待が高まっていたが、我々はこれまでに中古二次電池のリコンディションシステムを開発し、高所作業車用鉛蓄電池のリユースをビジネス化した。これに続き、二次電池性能診断装置の開発を行い、設備用二次電池の点検ビジネス、またその際に排出された低級二次電池の照明用等への水平リユースを推進してきた。しかしながら、これらの検査時にはさらに低級な二次電池が多量に余る。
今回の研究開発ではこれらの設備用としては利用不能な二次電池を農業で利用されている防蛾LEDランプの駆動などに利用出来る省エネ電源システムの開発と汎用時における省エネ性評価を目指す。
【課題名】廃棄物を出さないPEパイプ製かき筏の開発
【代表者】 深江漁業協同組合 ・ 樋口 元武
【概要】従来の竹製かき筏・垂下方式に代わって,廃棄物を出さないかき筏・トレー式養殖法を開発する。
1)発泡スチロールを用いる竹製筏に代えて,PE製筏を開発する。
2)現行の塩化ビニルパイプを用いた垂下方式に代えて,リサイクルPE/PPトレーによる養殖方法を開発する。
養殖筏の形状は2タイプを設計・試作し,①作成費用,②破壊可能性(強度),③育成可能連数(漁場の有効利用性),④作業性,⑤使用可能期間(推定),⑥かき生育状況,⑦リサイクル可能性,⑧環境負荷につながる可能性の8項目について検証する。
検証結果を基に,素材見直しや改良設計を行う。
【課題名】ジビエ産廃物を活用する新たなバイオマス燃料の開発研究
【代表者】 アヲハタ株式会社 ・ 藤原 裕治
【概要】有害鳥獣による農作物の被害が広島県下において大きな社会問題となっており、特にイノシシの捕獲から解体、食肉化もしくは飼料化、その後の廃棄物の処理に至る一連の流れが滞りなく運営されるような仕組みの構築が求められている。このうち解体後のサシ(脂身)部分の処理(廃棄処分)が手付かずの課題である。一方で、申請者(アヲハタ)は、ジャム作りに大量のエネルギーを使用しており、再生可能エネルギーの採用を検討していた。従来のLPG燃料を使用したボイラーからバイオマス燃料への転換を検討したが、コストや技術的な課題の多さから実用に至っていない。そこで、本研究は、竹の間伐材によるチップや、通常のバイオマスチップを母材として、これにサシ部を混錬し、安価で高発熱量のバイオマス燃料の製造方法を確立し、燃料としての性状の評価、および燃焼時の課題抽出を目的としている。
本研究の最終段階では、自社保有のいちごの圃場でのハウス用の燃料として実証を行い、事業の採算性を評価するものである。
【課題名】リサイクル製品の利用促進方策に関する研究
【代表者】 一般社団法人広島県資源循環協会 ・ 槇岡 達真
【概要】・広島県のリサイクル推進施策は,製品登録制度と製造支援が両輪となっている。
・しかしながら近年では,製品の利用が進まずリサイクルや資源循環が滞る事例が発生しており,リサイクル製品の利用促進が重要かつ喫緊の課題となっている。
・このため本研究は,県登録リサイクル製品のうち,バージン資源との競合が比較的明白な再生砕石・発泡ガラス・改良土等について,関連調査等をレビューした上で,製品登録制度や流通促進策等に関する全国調査(県へのアンケート調査)を実施し,品目ごとの追加調査等を行って,うまく循環している事例を抽出し,その成功要因等を解析・整理する。
・さらに,対象品目ごとに競合材と品質・流通・価格・販促面の比較を行い,広島県でどのような取組(民間が実施するものや行政が主導するものなど)を行えばリサイクル製品の利用促進が図れるか検討し,促進方策等を提示する。