令和2年度(2020)実施課題

実証1

【課題名】産業廃棄物焼却炉から発生する燃え殻の脱塩及び有害金属の分離に関する研究

【代表者】 ツネイシカムテックス株式会社 ・ 河野 大輔

【概要】ツネイシカムテックスが保有する産業廃棄物焼却施設から発生する燃え殻をリサイクルするための技術を開発することを目的として、次の2つの技術確立を目指す。 ①焼却段階から「リサイクル出来る燃え殻」の品質を意識した燃焼コントロール技術 ②燃え殻から塩分や有害金属を分離するための分離技術 ①については令和元年の研究において、燃焼空気の予熱によりRC炉内の廃棄物を安定して燃焼させる事が出来、亜鉛や鉛などの沸点の低い重金属を、燃え殻から飛灰に移行させる事が出来る事が分かった。 ②については、焼却炉から発生した燃え殻を廃酸で洗浄する事で、燃え殻中の塩素、亜鉛を溶出させる事が出来る事が分かった。 昨年までの研究成果をもとに、産業廃棄物の焼却処理において投入物管理及び燃焼改善、発生した燃え殻の洗浄のプロセスを実際に組み、実際のセメント原料化プロセスの採算性の評価と検討を行う。

実証2

【課題名】廃LED照明(ランプ)の効率的解体選別システムの構築

【代表者】 ㈱こっこー ・ 日山 健一

【概要】蛍光ランプに代わり普及し始めているLED照明(ランプ)は、普及に伴い新たな廃棄物として排出し始めている。近年では、古いLEDから新しいLEDへの交換も進んでおり、排出量は増加する見込みである。 廃棄されたLED照明(ランプ)は、手解体やシュレッダーでの破砕処理で廃棄物と有価物に選別されているが、その処理方法は、必ずしも効率良いものとは言えない。  昨年度の解体補助装置の試作機により、解体における作業性の効率化が確認されたため、今年度については、次の項目について研究開発を推進し、廃LED照明の効率的解体選別システムの構築を目指す。 ①解体補助装置の能力向上 ②分別によるカバーのリサイクル品位の向上 ③ビジネスモデルの構築・事業採算性の検証 について研究開発を推進し、廃LED照明の効率的解体選別システムの構築を目指す。

実証3

【課題名】リチウムイオン電池リサイクル処理システムの研究

【代表者】株式会社フラップリゾート ・ 廣瀬 敏典

【概要】リチウムイオン電池リサイクル処理システムとして、前年度までの研究成果を踏まえ既存装置(磁力選別装置、ふるい選別装置)の前処理装置として新たに「竪型チェーン式破砕装置」を導入し、破砕処理から選別処理までの一連のリサイクル処理システムを構築する。そのうえで、事業化に向け、焼成済みリチウムイオン電池に含まれる有価金属の回収率を最大限にできる処理システムとしての実施検証を行ったうえで、検証結果を反映させた処理システムとしての最終仕様を確定させ本研究中での事業化を図る。  また、本処理システムにより回収された有価金属のうち極材粉体については、加熱濃縮処理を焼却炉実機による検証を実施する。その他の有価金属については回収率、成分分析及び売却益の変化等を検証し、リチウムイオン電池リサイクル処理システム事業としての優位性についての評価を行う。

実証4

【課題名】廃棄物を出さないPEパイプ製かき筏の開発

【代表者】かなわ水産株式会社 ・ 三保 達郎

【概要】【1】 PE筏の低コスト化実証事業  これまでより細いパイプを集積して円形筏を作製することで,現在のPE筏と同程度の浮力を持ちながら低コストなかき養殖用PE筏を完成させる。 作製したPE製筏の性能(育成面,作業性,揺動特性)を評価し,実用可能性と最適サイズ等形状について検証する。 【2】 耐用年数推定  耐用年数について,現在の想定の30年,若しくは50年以上の使用が可能かを検証するため,耐候性試験機による加速試験を行い,引張強度の低下状況を確認する。

一般1

【課題名】植物性食品廃棄物から生産した飼料用DHA・EPAサプリメントの評価

【代表者】 株式会社山豊 ・ 山本 千曲

【概要】開発中のサプリメントにより、鶏卵のDHA・EPA含有量を増加させられることを認めたが、養魚用途にも利用するためには、DHA・EPA含有量のさらなる強化が必要である。一方、広島菜と酒粕を用いて生産したサプリメントは鶏卵生産に有用であったが、酒粕は食品としても利用されるため、酒粕に代わる食品廃棄物を見いだすことが実用化への一課題である。また、DHA・EPA強化鶏卵の生産へのサプリメントの商業利用に向けて、サプリメント投与から鶏卵中のDHA・EPA含有量の増加に要する時間といった動力学の把握が重要である。さらに、家禽が摂取したDHA・EPAの10%~20%程度が鶏卵に移行していたことからは、それ以外が特に肉の脂肪部にDHA・EPAが蓄積している可能性も考えられた。 令和2年度は、DHA・EPA含有量を増加させる培養方法を見出すと共に、DHA・EPA生産に適した酒粕に替わる食品廃棄物を見いだす。そして、サプリメントを家禽に給餌した際の鶏卵中のDHA・EPA含有量の増加挙動を明らかにすると共に、鶏肉へのDHA・EPA移行量を評価する。さらに、DHA・EPA含有による製品の高機能化だけでなく、食材としての評価を行うため、鶏卵の色彩、鶏卵や鶏肉の臭い・味といった官能試験も行う。

一般2

【課題名】廃プラスチックを活用したバイオコークスに関する研究

【代表者】 一般社団法人地域QOL研究所 ・ 田村 眞悠

【概要】各種廃棄物の配合により、使用現場に合ったバイオコークスの仕様提供を目標としている。令和元年度研究において、RPFと比較し廃プラスチックのバイオコークス作製上の優位性を確認した結果を踏まえ、令和2年度は、ポリエステル繊維くずを中心とする原料の種類とほかの廃棄物との配合割合を変えたものを各種作成し一般燃料としての有効なバイオコークス仕様を整理する。併せて、作製したバイオコークスの結合構造のメカニズムの解明や各種性能評価を行う。  市場展開のために、バイオコークスの寸法形状については、現在の10cm径円筒のものから3分の1程度に小径化した変更仕様のものが必要と判断している。このための変更仕様検討とともに装置の基本設計をし、装置試作を行なう。その上で、本研究機関によるバイオコークスの変更仕様に合った試作をし、利用における評価をする。  評価に当たっては、発電もできるガス化炉での数バッチの燃焼試験等をし、エネルギー収支も評価する。

一般3

【課題名】食品製造の歩留まり向上による廃棄物削減の研究

【代表者】 有限会社小田食品 ・ 古谷 憲一郎

【概要】おつまみやお菓子としてスーパーやコンビニで販売されている「イカフライ」の中間原料を「イカせんべい」と呼んでいるが、この「イカせんべい」は、原料パウダーを“熱圧縮成形”し、製造している。 熱圧縮成形過程では、成形後に、形状不良や重ね焼き、あるいは焦付きと言った不良品がどうしても発生する。そこで、①こうした不良品はできるだけ救済し、再利用(リサイクル)を行っている。が、②それでも、再利用できないものが一部あり、最終的にそれらは廃棄処分している。 そこで、①救済可能な不良品、及び②廃棄処分せざるを得ない不良品も含む全般的な不良品の発生を減らす技術の開発、及び、②廃棄処分している不良品を救い上げ、廃棄物量そのものを減らす技術の開発を行う。

一般4

【課題名】海洋プラスチックゴミ削減のための牡蠣選別工程に関する研究

【代表者】 西部工業技術センター ・ 田平 公孝

【概要】牡蠣養殖用のプラスチックパイプが瀬戸内海沿岸に大量に流れ着いている問題で,その原因の一つが牡蠣の陸揚げ後の洗浄・選別工程にあると考えられている。この工程でパイプは概ね回収されているが,破損したパイプと取りこぼしのパイプが残渣に混入しそのまま海上堆積場に運ばれ流出していると考えられている。 既存の洗浄・選別工程に汎用的に設置できる改良を施し,パイプを100%回収できる選別工程の開発を行う。 昨年度はパイプと残渣の形状の違いを利用した振動選別機と比重の違いを利用した比重選別機を試作した。新品のパイプでは比重選別,振動選別ともほぼ100%選別できたが,実際のパイプになると振動選別機では50%程度,比重選別機では10%程度の回収率にとどまった。低い回収率の主な原因はパイプ表面に付着したフジツボ,内面に付着した泥と考えられる。 今年度は新品のパイプでは選別できることから,新品の状態に近づける前処理工程の開発、及び着物がついた状態でも選別できるように選別機を改良する。

一般5

【課題名】使用済自動車用バンパー等プラスチック類のリサイクルシステムの研究

【代表者】 株式会社荒谷商会 ・ 八畝田 諭

【概要】1.事業化に向けて下記を追求する 初年度の研究事業の結果、事業化に当たっては①手作業を極力省く、②破砕装置の稼働率向上とバンパーフレークの洗浄、③プラスチックリサイクル商品の高付加価値化と販売先の多様化、などの課題を解決する必要があることがわかった。 2.課題達成のためペレットの生産の研究 上記課題解決のため①は、パテ、塗装などがフィルターでどの程度除去できるかの研究、②は、現在試験的に破砕している内装プラスチックとの混合破砕およびバンパー片の洗浄装置設置の検討、③は、自社によるペレット生産の研究を行う。このため、バンパーを破砕しペレット化する場合の品質水準の研究を行う。一部は西部工業技術センターでペレット化、フィルターを必要とするものは外部に依頼してペレットの試料を試作し、品質水準を確かめる。 3.ペレット試作の委託 廃バンパーをペレット化する場合、塗料除去のためのフィルターの選択が重要である。違った種類のフィルターを保有する事業者にペレット試作を委託する。 4.広島国際学院大学および西部工業技術センターとの連携 西部工業技術Cは、ペレットの成分分析および試験片の作成を分担する。広島国際学院大学は主として破砕前処理の加工方法、加工時間の短縮等の研究および試験片の物性値の測定などを分担する。

一般6

【課題名】環境負荷軽減型のカキ垂下式養殖の考案

【代表者】 広島市漁業協同組合 草津かき支部 ・ 木村 健太郎

【概要】本研究は広島県におけるカキ養殖の4つの問題点(養殖器具流出,採苗・成長不良,底質悪化,餌料不足)へ総合的に対策となる養殖方法の考案を目的とする。 現状の養殖方法が海中で牡蠣幼生が付着した採苗原盤(以下コレクター)及びプラスチックパイプがむき出しなのに対し,本案ではコレクターをネットで囲み垂下用ロープに固定することでパイプの使用を不要とし,養殖初期の魚類等による食害を防ぎ、コレクター1枚あたりの成長したカキの歩留まり向上、養殖中の脱落をネットで防ぎ,落ちカキによる底質悪化を軽減する。また,歩留まり向上によりカキ養殖資材の余分な利用・仕込みの防止,及びカキの生育期間個体数減少による餌料不足解消を見込む。さらに仕込み時の筏の重さが軽くなるため,発泡スチロールフロートの数量減少できるとともに,強固な素材への代替資材への移行をコスト面で可能とする。新規フロート素材についてはカキ養殖現場における汎用性について評価した参考事例が無いため,実地比較検証にて利点および問題点を抽出する。

一般7

【課題名】廃棄物処理業選別技術としてのIT(AI)活用に関する研究

【代表者】 株式会社オガワエコノス ・ 藤村 卓磨

【概要】廃棄物処理業においては、その多くの作業について、人手を使った作業や判断に基づいて行われていることが多い。しかしながら、現在技術的進歩が著しいAIを始めとするIT関連の技術を活用することにより、選別作業での処理能力向上など、限られた時間内で、少しでも多くのリサイクルが出来る可能性がある。 また人材不足が叫ばれる昨今においては、人手不足によるリサイクル率の低下も懸念される為、人間の代替手段の模索は、廃棄物処理業界においても求められるところである。 本研究では、前年度の包括的なIT(AI)調査により、有用な知見が得られたので、その成果を踏まえ、新設備が登場し続けている廃棄物の選別技術について着目し、AIやロボティクス技術について先進事例の調査を行い、更にメーカーテスト機による実地検証を実施することにより、その能力について評価研究を行う。

一般8

【課題名】廃プラスチック類のリサイクル方策に関する研究

【代表者】 一般社団法人広島県資源循環協会 ・ 三谷 哲也

【概要】平成29年に中国による廃プラスチック類の輸入制限が開始されて以来,アジア諸国でも同様な措置が採られるようになり,日本国内の廃プラスチック類の処理・リサイクル状況に大きな影響を生じているとされている。 我が国においては,広域処理の推進,適正料金による委託の促進,自治体等既存処理施設による受入促進,施設整備補助の拡充などの対応が採られつつあるが,そうした対策の効果や,県内の廃プラスチック類の流通状況,処理・リサイクルの実態等は必ずしも明確になっていない。 廃プラスチック類の有効なリサイクル対策を推進するためには,県内状況の把握及びそれを踏まえた的確な対応が必要であり,その基礎資料の整備並びに効果的な対策の検討が肝要である。 このため,本研究においては,既存資料の整理・分析や関係団体への実態調査を踏まえて県内の廃プラスチック類の需給状況を明らかにするとともに,その効果的なリサイクル推進方策を提示することを目的とする。