平成23年度(2011)実施課題

実証1

課題名・放電加工用フィルターからの銅回収

代表者:㈱エヌ・イー宮本 忠春

概要:放電加工用フィルター内に堆積したスラッジ(以下、N・E銅滓と呼ぶ)の再資源化に、採算性があるのかどうか、つまり事業化の可能性があるのかどうかの検証を行う。 そのため、フィルターの大規模な回収、解体の実施、N・E銅滓の大量売却試行を行ない、収支を見積もる。

1.フィルター内のN・E銅滓の平均含有量の調査を大規模に行う。

2.フィルターの解体処理費用がどこまで低減可能かその見究めを行う。そのため、フィルター切断装置を2基追加し、全解体工程がほぼ自動化できるようにする。

3.物流コスト(フィルター回収のための物流費、およびN・E銅滓の住友金属鉱山への搬入費)の試算を実施する。

4.スクラップ材(梱包用ダンボール材、鋼板外筒、内筒など)の売却費用、及び濾紙の廃棄物処理費用の試算を行う。

5.住友金属鉱山㈱へのN・E銅滓の売却試行を大量(10トンダンプで3回程度)に行ない、収支を正確に見積もる。

以上の試算結果を基に、最終的に事業化の可否を判断する。

実証2

課題名・保冷容器の循環利用システムの開発

代表者:㈱REC 阿部 亨

概要:食品の輸送・保存には発泡スチロール容器が主に使われているが、1回で使い捨てされているという問題がある。
現在、㈱RECで開発中の食品保冷容器は200回程度再利用が可能であると想定しており、廃棄物の大幅な減量化が見込まれる。 この保冷容器による循環利用システムを確立するため、本研究では1年を通して開発中の容器を使った実証試験を実施すると同時に新規容器導入における環境影響及び経済性を、ライフサイクルアセスメント(LCA)とライフサイクルコスト(LCC)を実行して評価し、これらの情報 製品および技術設計段階にフィードバックし、最適な容器製造及び利用システムを構築する。 このことにより、廃棄物の減量化などの環境負荷とコスト低減が実現でき、循環型社会の実現に向けた取り組みを進めることができる。

一般1

課題名・廃ガラス発泡体の用途開拓

代表者:広島工業大学環境学部 今岡 務

概要:広島県内のガラス瓶等の廃ガラス処理は、循環型社会構築の課題の一つであり、再生製品である廃ガラス発泡体(製造:株式会社こっこー)の無機質かつ多孔質(超軽量)という特徴に着眼した新規用途開拓を行い、循環型社会の一助を目指す。 具体的には、廃ガラス発泡体の物理的・化学的特性を解明するとともに、鉄鋼資材、建築資材および園芸用培地への適用性を検討し、その利用技術を開発していく。 なお、一年目は、主に基礎的な研究を推進し、適用分野における方向性を絞り込むとともに、事業化検討(FS)により実用化見極めを実施していく。

1.鉄鋼業における溶銑・溶鋼用保温材への適用
(問題点)保温材として汎用鋼に籾殻および特殊な鋼(高級鋼)にマグネシア系発泡材が使用されており、前者は供給不安定、後者は高価という課題が潜在的に内在。

2.建築物(一般木造・プレハブ住宅)の外壁・内壁下地材への適用
(問題点)非木質系下地材として石膏ボードや火山性ガラス質複層板が利用されており、前者は硫化水素の問題から埋立て処分の限定、後者は高価という課題が顕在。

3.農業および園芸作物の育苗培地への適用
(問題点)無機質の育苗培地としてロックウールやクリンカアッシュ(極少量)が実用化。前者は非常に高価であり、一年毎の植替えが困難等、技術課題も存在。

一般2

課題名・利用ニーズに応じた建設汚泥リサイクル資材の開発

代表者:㈱福永建設工業 川井 雅広

概要:土木、建築工事から発生する建設汚泥は、都市化の進展と共に、年々その量が増加している。また建設汚泥を建設資材として造粒固化や混練固化し再生しても、建設発生土と競合し、 埋め戻し、盛土材としての活用する現場の確保も極めて難しくなってきている。 このような背景を踏まえて、建設汚泥を改良土など埋め戻し材で利用するだけでなく、再び地震が起きても液状化にならない製品開発や、 また狭く複雑な空間の締固めをせずとも流動性、自硬性を有し、埋め戻しが簡単、可能な製品開発をし、低コストで環境に優しく、かつ耐久性に優れた製品の研究開発を行う。 また、全国的に建設汚泥を建設資材として、公共工事などに飛躍的に有効利用されている製品の調査研究をし、併せて廃棄物の有効利用を拡大することを行う。

一般3

課題名・廃石膏を活用したリン回収技術の開発

代表者:山陽工営㈱ 山下 眞

概要:建築物の解体に伴い排出される廃石膏ボードについては、埋立処分場の逼迫から、再資源化の促進が求められている。 また、リン資源の枯渇懸念・国際価格の急騰から、下水排水中のリンを回収する技術が注目されているが、コスト面で問題があり実用化はあまり進んでいない。 そこで、廃石膏(硫酸カルシウム)を利用するリン回収技術を開発することにより、廃石膏の有効利用を拡大するとともに廃棄されているリンを資源として回収する手法を確立する。 すでに基礎的な技術は確立しており、本研究では事業化に向けた低コストのリン回収装置を開発し、新たな廃石膏資源化システムを構築する。  本年度は、石膏を用いるリン回収反応に関する条件等について精査するとともに、そのデータに基づいて効率的なリン回収装置を試作し、現場でのリン回収試験を実施する。

一般4

課題名・オゾンナノバブルを用いた汚泥減量化技術の最適化

代表者:広島大学環境安全センター 西嶋 渉

概要:排水処理によって発生する余剰汚泥は多大なコストを掛けて処理されたうえ、廃棄物最終処分場の残余空間が逼迫するなか、未だ多くの処理汚泥が埋立処分されている現状がある。 本研究では、汚泥減量化技術のひとつであるオゾン酸化法にナノバブル技術を導入・最適化することで、従来技術と比較してより高効率で低コストである汚泥減量化システムの開発を行なう。その結果、現在、大量に発生している有機性汚泥の発生抑制に寄与する。 昨年度の研究によりナノバブルの有効性は確認できており、今年度は、装置の最適化及び汚泥可溶化処理の効率化を行なうと同時にエネルギー効率を含めた効果の定量的評価を行い、次年度の実証試験を目指した装置の仕様の検討及び設計を行う。

一般5

課題名・食品加工残渣の堆肥化促進と発生する臭気解消技術の開発

代表者:久米産業㈱ 藤原 多見夫

概要:食品加工残渣には、香酸柑橘類果汁残渣や根菜類加工残渣など難分解性のものがある。それらは、発生が季節的に集中するうえ発酵し難いため、発酵施設の負荷を増大させ、悪臭発生等が顕在化しつつある。 近年、難分解性食品残渣の発生量は増加傾向にあり、既存の発酵技術で対処できないため、対応できる新しい発酵技術の開発が喫緊の課題になっている。 予備試験で、みかん搾滓を対象に分解に関与する微生物(以下分解菌)を探索し、その機能を調査した結果、通常2週間以上の経過を必要とするのが、2日でみかんの原形が無くなり、悪臭の発生も無いことを認めた。 そこで、この研究では分解菌の探索・同定・安全性確認を行い、分解菌の活用方法と難分解性食品残渣への適応性を検討し、一次発酵期間の短縮と臭気発生の解消を可能にする新しい堆肥化システムの構築を目指す。

一般6

課題名・製紙工場排水等を由来とする難分解性余剰汚泥削減プロセスの開発

代表者:寿工業㈱ 竹林 賢

概要:広島県内においてはパルプ・紙製造業等を由来とする余剰汚泥の発生が問題視されており、環境負荷の低減を目指した処理プロセスの開発が急務となっている。 国内のパルプ・紙製造業における余剰汚泥削減プロセスとして、嫌気性処理法である『UASB槽』を活性汚泥槽の前段に配置したフローが提案されているものの、UASB槽内グラニュールの崩壊、活性汚泥槽でのバルキングの発生といった課題が挙げられている。 本研究では、活性汚泥槽の前段に嫌気性『UASB槽』と好気性『DHS槽』を配置し、また活性汚泥槽にて排出した余剰汚泥は『超音波可溶化処理』を行い、『超音波可溶化汚泥投入方式UASB-DHS型排水処理システム』の構築を目指す。 本年度は、当該フローにおける運転条件を確立するためのラボスケール試験を実施し、最適運転条件の確立を目指す。また、最適運転条件下における運転データを基に仮説検証を行い、事業化可能性を検証する。

一般7

課題名・小型焼却炉廃熱利用に関する研究:熱交換器及び利用システムの開発

代表者:㈱カンサイ 川本 義勝

概要:本研究は小型焼却炉施設の廃熱を加熱空気の形でエネルギーを回収して利用するための、装置及び利用システムの設計に必要なデータを得る実験を行う。

・研究実施場所
㈱カンサイの産業廃棄物焼却施設の焼却炉2次燃焼室出口煙道を利用して実施する。

・研究方法
上記煙道の点検扉を利用して、熱交換器の小型モデルを設置する。 熱交換器への送風空気量と入口・出口温度を測定記録することで伝熱係数等装置設計に必要なデータ得る。同時に熱交換器の表面観察

・強度測定等を行うことで材質を評価し、装置材料選定の参考とする。

・実用化モデル検討(24年度実証実験準備)
研究によって得られたデータをもとに、熱回収利用システムのモデルについて検討する。

一般8

課題名・廃棄物焼却炉の廃熱利用に関する研究

代表者:県立広島大学生命環境学部 西村 和之

概要:平成22年度の廃掃法改正により、廃棄物処理施設の設置者に「廃棄物熱回収施設設置者認定」制度が新設された。 そこで、現在実施中の焼却処理事業に関連して、焼却炉から排出される廃熱を温水で回収し、さらに回収した温水を「温水焚吸収冷温水機」により冷暖房用エネルギーとして有効利用するシステムの技術開発を実施する。 今年度は初年度であり、既設の産業廃棄物施設を改造し、それに伴う設備を一部弊社で購入設置し、焼却炉廃熱から冷温水を回収し、回収した冷温水を野菜または果物の栽培用ビニールハウスに有効利用を行う。そのため、以下について検討する。

①ビニールハウスの設計・試作を行う。

②設置した温水焚吸収冷温水機等からの冷温水を試作したビニールハウスを循環することにより、焼却炉における焼却炉量等を把握し、収支計算に必要なデータを把握し、一定温度帯の冷温水供給システムを確立する。

③焼却炉休止時の貯水タンクの加温によるボイラーに使用するA重油が熱量の30%を超えない運転技術を確立する。

④温水焚吸収冷温水機からの冷温水をビニールハウスに循環させ、ハウス内温度またはハウス内の温度を一定に維持する運転条件を検討、焼却炉からの廃熱利用システムを確立、廃棄物熱回収施設設置認定を受けるための諸条件を検討し、 確保するための基礎的技術を検証する。

一般9

課題名・容器リサイクルプラスチック分離技術の開発

代表者:広島大学環境安全センター 西嶋 渉

概要:容器リサイクルプラスチック(容リプラ)は低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)の3種が90%以上を占め、ポリスチレンやポリ塩化ビニル数%の成分が混在している。 不純物の混入の他、様々なプリントがなされているため、色、臭い、加工条件などに制約が大きく、外観、特性を持つ製品を作ることが困難であり、あまり性能を必要としない農業用資材、土木用資材などが製造されているのが現状である。 そのため、高付加価値を目指すためは容リプラの生産工程の途中で素材別に分離、ペレットが着色、着臭する原因となる塗料を除去する技術を確立することが重要である。  容リプラの生産工程で破砕された数センチ角のフィルム(フラフ)の状態で一部の樹脂は比重分離されている。本研究では、このフラフを溶融する前に表面の塗料を除去し、 LDPE、HDPE、PPの3種のプラスチックとその色について熱的手法、光学的手法を併用して分離する技術について開発を行う。この技術により各プラスチック種別毎に80%以上の純度での分離が低コストで可能となる。

一般10

課題名・廃棄処分となるFRPのリサイクル

代表者:㈱中国ホーマー 水田 剛

概要:FRPは浴槽をはじめ船舶、タンク、建設資材、自動車等幅広く使用されており、経年劣化に伴って排出される使用済みFRP製品は年間約40万トンと推定されている。 ((社)強化プラスチック協会)FRPの大規模な再利用で実用化されているのは、破砕してセメントの原材料として使用することのみで、その他については未だ事業化途中もしくは、研究段階と推測される。 少量生産であれば、破砕した粉末をFRP原材料に混入し、ハンドレイアップ成形(刷毛塗り)で、浴槽等の製造が実用化されているが、スプレーガン方式で大量生産を行っている場合は、未だ実用化されている報告はない。 弊社は数年前より端材を粉砕機にかけて粉末にし、原材料に混入して試行してきたが、内部フィルターが目詰まりを起こしてしまい成果は出ていない。 目詰まりの原因は、FRP粉末の分散状態が不十分であることから、本研究開発では良好な分散状態を達成するためのFRP粉末添加/前処理方法を開発し、スプレーガンの内部フィルターでの目詰まりを克服する。 そうして製造したFRP製品の強度等の特性を評価し、実用に耐え得るかどうか判断する。

一般11

課題名・ドライクリーニング用フィルターの再資源化

代表者:㈱エヌ・イー 宮本 忠春

概要:㈱N・Eでは、ドライクリーニングフィルターを年間3万本販売し、その内の2.5万本を回収している。回収フィルターは解体後に、石炭系活性炭(150トン/年)とアルミナペレットの2種を既にリサイクルしている。 しかし、残りの木炭系活性炭(150トン/年)と濾紙や繊維汚泥(150トン/年)は、リサイクルする技術が無く、特管物として多額の費用をかけ廃棄処理している。この理由は、中に多量のクリーニング用溶剤(石油)が含まれているためである。 今まで、これらの廃棄物を燃料に使うべく、客先の情報収集や輸送のための安全化を検討してきた。特に輸送の安全性を図るため、

①パラフィンコート(溶剤を中に閉じ込め揮発させないことで、目的地まで安全に輸送する)の可能性検討、
②水蒸気蒸留(運搬前に溶剤を除き安全に輸送できるようにする)による乾燥テスト

の二つを実施した。しかし、未だによい成果は得られていない。そこで今期は、取扱の容易な木炭系活性炭に的を絞り、加熱水蒸気を使った乾燥を検討し、リサイクル化の可能性を追究する。

一般12

課題名・メッキ廃水からの金属回収技術

代表者:協同組合福山金属工業センター 株本 宗樹

概要:福山金属工業センターでは、組合員企業から排出されるメッキ廃水等を無機水酸化物を使用して凝集沈殿処理することにより、廃水濃度を下水道排除基準以下に低減して福山市下水道に投入している。 また、この処理で発生する汚泥には、ニッケルやクロムなどの重金属類が多く含まれているが、多種多様な金属や無機物が混在するため、リサイクルができないのが現状である。現在、汚泥は委託して広島県環境保全センターの処理場に埋め立て処分している。 本研究では、廃水に含まれる重金属を有効利用することを目的として、

①現状の廃水処理で発生している汚泥の分析調査。
②各企業の製造ラインから排出される廃水を分析調査して回収する金属を選定する。
③メッキ廃水から不用な金属や無機物の含有量を極力低減し、有価金属を選択的に高濃度に含有する汚泥を回収するための廃水処理技術を開発する。
④回収した汚泥の有効利用を図るため、汚泥のリサイクル用途の調査も行う。研究成果から回収汚泥の用途展開が見込まれれば、事業化を目指して実証研究事業に発展させる。

一般13

課題名・新規硫化物法による高濃度排水からの金属の回収

代表者:㈱山陽レック 中川 明雄

概要:高濃度重金属排水の処理後に生成するスラッジには有価金属が多量に含まれているが、採算性の問題からそれらの有価金属は回収されないまま最終処分場に埋め立てられてきた。 しかしながら、近年、環境問題や資源問題の観点から、天然資源の消費抑制や循環使用が求められるようになってきている。 そこで本研究では、既往の処分法の課題を解消した新規硫化物法(NSプロセス)を技術導入することにより、高濃度重金属排水からの有価金属回収 (それに伴いスラッジ量の低減)の事業化を目指す。県外で事業化されているのは銅とニッケルである。広島県内の企業から出される排水からの銅とニッケルの回収条件の検討を行うとともに、六価クロムや水銀及びその他の金属についても検討を行う。

一般14

課題名・自動車用モーターに含まれる銅等金属類のリサイクル技術の開発

代表者:㈱荒谷商会 荒谷 修

概要:現在、使用済自動車の金属類の分別方法は

①手ばらし
②重機(ニブラ)による解体
③シュレッダー後の磁力選別

等による分別などであるが①は高コスト②は小型モーターがとりきれない③は鉄は容易に分別できるが磁石を分けることが難しい、などの問題がありいずれも改善課題が多い。 金属類は分ければ分けるほど回収資源価値が高くなるので、磁石、鉄、銅、アルミニウム、プラスチック等に丁寧に分けることが望ましい。

本研究開発では、このうち、金属、特に鉄と銅の分別を中心に低コストかつ効率的な回収技術を開発する。具体的には

(1) セルモーター等の中型のモーター類は手で外した後の鉄、銅等の機械分別方法
(2) ドアミラー等の小型モーターは手で外した後の破砕機による破砕分別方法
(3) ハイブリッド車、電気自動車等のモーターの鉄、銅、磁石(レアアースを多く含む)

等の最適な機械分別方法に区分して研究開発する。 開発を進めるに当たり、先ずモーター類に含まれる材料の単価、分別のための工数等の原単位を把握する。次いで機械化等の処理方法を検討し、 現在車両から取り外されたままの姿で海外に流出している価格と比較検討することにより、事業化の可能性を追求する。事業化にあたっては、当面は量が多く価格の高い銅線などが収益の主体となるだろう。

一般15

課題名・廃屑鉄と廃牡蛎筏竹材炭化物との混合物を利用した漁場改善材の開発

代表者:濱本水産㈱ 濱本 恵津生

概要:広島県では、産業廃棄物として年間7万トンあまりの屑鉄が排出されているが、約10%程度が未利用のままである。 また、県の特産品である牡蛎養殖産業から発生する筏の廃竹材は、年間7,400トン程度排出されているが、一部が未だに野焼き処分されている。一方、瀬戸内海沿岸ではアサリの漁獲高が減少しており、平成22年は前年度に比較して60%程度に激減した。 その原因の一つが餌環境の悪化である。アサリは珪藻類などを餌としているが、そうした藻類の増殖には鉄や珪酸が必要である。 本課題提案では、鉄の供給源として屑鉄、珪酸の供給源として炭化した廃牡蛎筏竹材や籾殻を基礎材料として、餌藻類の増殖を促しアサリ漁場餌環境を改善するペレットを開発する。 ペレットの作成においては、鉄や珪酸の供給を安定かつ効率的に行うため、これら基礎材料の混合比率、ならびにキレート源として廃牡蛎筏竹材や廃籾殻の添加、ペレットの粒径等を変化させる。 そして、作成したペレットの溶出試験により鉄や珪酸の供給能を明らかにすると共に、藻類の増殖試験により餌藻類の増殖促進効果を確認する。

一般16

課題名・使用済み携帯電話からの有用金属回収に関する研究

代表者:広島国際学院大学工学部総合工学科 遠藤 敏郎

概要:(有)瀨野川総業では、メモリーなどのデータを消去するために家電メーカーでシュレッダーされた携帯電話を、現在年間12トン、引き取り大手精錬メーカーに販売している。 精錬メーカーではこれらに含まれるAu、Ag、Cu、Pdのみを分析し買い取り価格に反映しているが、これ以外のレア-メタル等の有用金属の分析結果、或いはその評価額は提示されていない。 金属等の有用資源リサイクルを推進するためには、末端の中小回収・分離業者の役割は重要であり、その収益率を上げることが急務である。 本研究では、携帯電話の破砕品に付加価値をつけて精錬メーカーに販売することを目的とする。このため、金属の分離・回収のための幾つかの処理工程を設け、

①プラスチック類はガス化:ガス中に含まれる有用物質の回収・分析
②Au、Agの貴金属とPbの回収(貴鉛化と濃縮)
③銅、鉄等の金属片の回収と分析(メッシュによる分離)を行う
この際、それぞれの工程での回収物に含まれる金属の種類・量を分析し、リサイクル工程の手法と高付加価値化に関する知見を得る。

一般17

課題名・キュポラ集塵機ダストからの亜鉛酸化物濃縮・回収技術の開発

代表者:広島大学大学院工学研究院 福井 国博

概要:自動車製造で使用された亜鉛メッキ鋼板のプレス屑はキュポラ炉で溶融させることで銑鉄鋳物へとリサイクルされている。この時、低沸点成分である亜鉛は気化し、大気中の酸素によって酸化され酸化亜鉛を含んだ粒子状物質となる。 この粒子状物質の一部は熱交換器壁面に沈着するものの、その多くはその他の粒子状物質と共に集塵機で捕集される。このため、集塵ダスト中の亜鉛濃度は20%前後であり、廃棄物として処理されている。 しかし、亜鉛濃度を50%以上とすることで有価の亜鉛原料として利用することができる。よって、この集塵ダスト中の亜鉛酸化物濃度を増加させるプロセスを開発することを研究目的とする。 集塵ダストの粒子径や密度、親水性などによって、その成分が異なることが予想されるので、これら性質を利用し、分級や比重分離などの技術を応用した濃縮・回収プロセスを構築する。

一般18

課題名・産業用バッテリー再生技術開発および再生原理の解明

代表者:広島国際学院大学工学部総合工学科 渡邊 真彦

現在産業用として蓄電池(二次電池)が広く利用されている。中でも鉛蓄電池はその歴史の長さや安定・安全性から輸送機器をはじめ施設用バックアップ電源として莫大な量が日々利用されている。とりわけ携帯電話中継局等の施設バックアップでは24時間365日の安定稼働が要求されるため、これまで古くなって性能が低下した鉛蓄電池は新品に交換されてきた。この交換には多大なコストや環境負荷が付随する為、近年再生品のリユースで対応できないかどうかの検討が進められている。 鉛蓄電池の性能再生法として有望なものとして、充電電圧や電流を時間的に変化させる方法が知られている。しかしながら大規模事業者がこの方法で再生された蓄電池をなかなか導入しない理由として、再生の理論が明確にされておらず、信頼性が得られていないことが背景にある。 従って本件では電気的な方法による鉛蓄電池の再生技術に関してその理論を解明し大規模なケースへも適用できる再生法を確立することを目的としている。