平成21年度(2009)実施課題

実証1

課題名・無排水型乾式メタン発酵のシステム確立と実証モデルの運転条件確立

代表者:(株)カンサイ 川本義勝

概要:本研究は県内初の試みとして、実機の100分の1スケールの乾式メタン発酵実証設備を製作、実機に沿った運転を行うことにより、実機運用に関わる問題解決を行う。さらに、実証運転において、混合条件、実機最適操作条件のデーターベース化を図り、円滑な運転条件の把握をすることにより、商業ベースでの実証を明確にするものとする。尚、現況の実証プラントでは乾式メタン発酵とはいえ、発酵残渣、および水処理を必要とする発酵廃液があり、商業ベース上ランニングコストとして問題視されている為、中温域での発酵残渣の炭化とリン酸の抽出を行い、カスケードな有効利用を考慮した研究にも取組み、総合的なマスバランスを考えた地域でのバイオマス利活用のモデル事業とする。

実証2

課題名・産業廃棄物最終処分場における簡易型リアルタイム水質モニタリング装置の開発

代表者:ラボテック(株)山田 寛

概要:現在,安定型最終処分場の浸出水等は沈砂池等へ集水した後,河川等へ放流している。その水質検査は,月1回定期的に実施しているが,この頻度では水質の異常が発生した際,対策及び行政や地域住民等関係者への連絡等が遅れ,また,異常発生後,産業廃棄物を除去するには多額の費用もかかるという問題点がある。 そのため,日々の水質変化について連続監視可能な簡易型水質測定装置の開発が望まれており、産業廃棄物処理事業者にとっても,本装置の導入により最終処分場全体の適正管理につながるものである。 そこで、本課題では、以上について実施する。

実証3

課題名・廃プラスチックをゴミ袋にリサイクルするための実証研究

代表者:中川製袋化工(株)中川兼一

概要:「廃プラスチックをゴミ袋にリサイクルする技術の開発」について研究事業を実施した結果、再生ゴミ袋の製造技術に成功し、特許出願を行った。また、備後産業市場などへ出展、試供品の配布や新聞、情報誌の記事を通じて一般にもアピールを続けているが、製品化を図るためには、印刷性能の向上技術、低価格で引裂き強度の良好な相容化剤の探索が必要となる。この試作ペレットを用いて袋成形メーカーで実用機を使用して成形し、コロナ放電処理を行ってグラビア印刷をする。その後、一連の加工工程を実施し、実用化を検討する。

PDF
記事
記事
記事

実証4

課題名・FRP廃品の粉砕物をフィラーするFRP製品の製品技術開発

代表者:(有)徳毛レジン 徳毛裕介

概要:工場内でのFRP廃品のリサイクルを目指し、FRP廃品の粉砕物をFRP製造に用い不飽和ポリエステル樹脂(UPR)のフィラーとすることに着目した。 これまでに、廃FRPの粉体を用いてUPRを製造した場合、汎用フィラーである炭酸カルシウムを用いた場合よりも強度が低下すること、このUPRを用いてFRPを製造した場合、強度は炭酸カルシウムを用いて製造したFRPの2割程度低くなる可能性を確認した。しかしながら、製品に要求される基準を満たしていれば、強度が低下したUPRを用いても実用化は可能と考えられた為、FRP廃品の粉砕物をフィラーとしたUPRを用い、実際にFRP製品を製作し、その性能を評価することとする。さらに、その利用促進を図るためオーバーレイ製品についても検討し、その製品の強度を評価する。

一般1

課題名・裁断紙エタノール化残渣のモルタルへの利用と応用研究

代表者:㈱ジュオン 鈴木大生

概要:大量に廃棄されるコピー用紙の有効活用としては,再生紙としての活用があるが,コスト面および流通面からも問題が残されている為、未利用バイオマスの資源として,カーボンニュートラルの観点に立ち本研究を行う。すなわち,バイオ燃料としては,回収したシュレッダー後のコピー用紙を,酵素による糖化後,引き続き,酵母による発酵工程を経て,バイオエタノールを得る方法を実施する。その最終過程で得られる固形残渣物は、木質バイオマス由来である。その再生可能性な資源として,建材用のモルタルへの利用方法を考案し,利用目的に応じた固形残渣の変換・加工を試みて,実際に使用可能に成り得る強化・軽量モルタルの開発研究を行うものである。

一般2

課題名・小型焼却炉エネルギー回収システムの調査

代表者:㈱オガワエコノス 端 彰夫

概要:小型焼却炉は中小の中間処理業者において、多数使用されているが、焼却炉からの熱エネルギー回収は殆ど行なわれていない。そこで、当研究課題は、次の目標のもとに実施する。

①小型焼却炉からの熱エネルギー回収技術の調査と候補技術の現用施設への適用の可能性を検討する。
②㈱オガワエコノス設置の焼却炉も10年を越えていることから、更新・新設に当って利用できる技術を調査し推薦する。

本研究により、小型焼却炉の熱回収技術の良好な手法が得られれば、㈱オガワエコノスのみならず県内の多くの処理業者にも波及効果がある。

一般3

課題名・放電加工用およびドライクリーニング用の使用済みフィルターの再資源化

代表者:広島大学環境安全センター 西嶋 渉

概要:
1.放電加工用フィルターについては、廃棄フィルター一本あたり、スラッジが10kg以上であり、銅が6~60%含まれている。本研究では、このスラッジについて、平均の銅含有量や、銅と他の金属の存在形態を調査し、磁選や渦電流、酸による選択的溶解、および粉砕等の前処理やその組み合わせにより、銅と鉄等の分別技術を確立する。また、精錬メーカーに対しても分別後の引取りや現状での精錬の可能性を調査し、最終的に再資源化に目処を付ける。

2.ドライクリーニング用フィルターについては、クリーニング用石油系溶剤を吸着した活性炭と濾紙や繊維汚泥等(150トン/年)が含まれる。本研究では、木炭系活性炭、及び濾紙・繊維質汚泥を固形燃料等に利用できないかについて検討を行い,再資源化に目処を付ける。

一般4

課題名・廃ガラスびんのリサイクル技術の検討

代表者:広島工業大学環境学部 今岡 務

概要:現在,広島県内におけるガラス・コンクリート・陶磁器くず発生量は89,000t/年であり,その資源化率は22%である。広島県におけるすべての産業廃棄物発生量13,569,000t/年の資源化率が68%であることから,ガラス・コンクリート・陶磁器くずの資源化率はリサイクル用途,需要が少ない為、低い。その為、最終処分場で処分せざるをえない。本研究では,廃ガラスびんを路面表示塗料用ガラスビーズとしてリサイクルするための技術について検討する。主な検討項目は以下のとおりである。

①廃ガラスびんからリサイクルガラスビーズを製造する。
②製造したリサイクルガラスビーズの路面表示塗料用ガラスビーズ品質項目を測定する。
③塗料メーカーへのヒアリング調査を行う。
④リサイクルガラスビーズの実用性を評価する。

一般5

課題名・広島県内におけるバイオマスエネルギー利用システムの構築に関する調査研究

代表者:県立広島大学生命環境学部 西村和之

概要:本研究は、現時点で利用可能なバイオマス資源の発生状況の把握、バイオマス資源の供給体制の在り方と適切なエネルギー化技術や利用形態等を明らかとし、実行可能なバオマスエネルギー利用システムモデルの立案を目的としている。

1)耕作放棄地を活用したエネルギー作物の栽培
2)建築廃材等を含めた中山間地で発生する木質系バイオマスの発生状況の把握と供給体制の在り方を明らかにする
3)草本系を含む未利用バイオマスの発生状況の把握及び発生特性を考慮した効率的な収集運搬方法の検討
4)水分含量の低い木質系やエネルギー作物等の草本系バイオマスのエネルギー利用技術として有効性の高い熱的処理技術の可能性や今後の技術開発の方向性を明らかとし、広島県内で木質・草本系バイオマスのエネルギー利用システムの在り方を提言する。

一般6

課題名・生物系廃棄物資源リサイクル製品の需要拡大につながる技術開発 -特産野菜の土壌病害を軽減する機能性コンポストの商品化-

代表者:久米産業㈱ 藤原多見夫

概要:広島県特産のホウレンソウは、土壌病害の株腐病・立枯病・萎凋病を土壌消毒により防除することが前提の栽培体系が取られているが、防除は生産者の負担は大きく、安全・安心を求める消費者のニーズにも反している。コンポストの生産過程で検出される抗菌が土壌病害菌の生育を抑制することは公知であるが、コンポスト中で菌密度を高め、土づくりの目的で施用するコンポストが土壌消毒の代替になる考えのもとに商品化した事例は無い。 本試験では、ホウレンソウに発生する主要3病害を対象に抗菌検索から開始し、3種の土壌病害菌に対する抗菌の検索・選抜・安全性確認が完了し、抗菌の特性と培養条件を明らかにした。また、コンポスト中及び施用後の土壌中で抗菌の活性を高め維持する要件を確立し、既に開発した栽培評価実験系による判定試験を経て事業化の目処を立てる。

一般7

課題名・鋳物ダストのリサイクル技術

代表者:㈱松浦組 柳生豊晴

概要:昨年度の研究では,各工場から排出された鋳物ダストの性状,及び,セメント固化した場合の安全性を確認した。その結果,ふっ素・砒素・鉛の不溶化処理を実施することにより,建設・土木資材への再資源化が可能であることが判った。本年度は,鋳物ダストが塗料または銅精錬用シリカ材料として利用可能かどうかを検討し,付加価値の高いリサイクル技術の開発を行う。

一般8

課題名・産業廃棄物焼却施設からの効率的な金属類の回収技術の開発

代表者:㈱山陽レック 中川明雄

概要:本研究は、より事業性が高いと考えられた焼却プロセスからの効率的な鉛回収に関する事業化調査を行うものである。焼却プロセスにおいて鉛を効率的に回収できれば、中間処理コストや処分場リスクの低減が可能となると考えられる。本研究では、山陽レック所有の産業廃棄物焼却炉を対象に、鉛を効率的に回収するための技術を開発し、その事業化可能性について検討を行う。

一般9

課題名・建築外壁用の資源循環型高品質煉瓦の開発

代表者:広島大学大学院工学研究科 大久保孝昭

概要:本研究は、都市ゴミ焼却灰や産業副産物を原料の一部に使用した資源循環型の煉瓦の製造技術の開発を行う。最低限の品質目標として、「建築外壁用れんが」に適合することを設定している。 実験研究は下記の2項目を実施する。

① 廃棄物や廃材を原料の一部に使用した資源循環型煉瓦の製造技術 混合する廃棄物としては多種の材料が想定できるが、本研究では特に都市ゴミ焼却灰、廃セラミックおよび岩石洗浄汚泥を混入した高品質煉瓦の製造技術を開発する。

② 資源循環型煉瓦の品質評価試験 開発した資源循環型はその用途として建築外壁に用いることを想定している。品質として、圧縮強度、吸水率、熱伝導率およびモルタル目地との一体性について品質評価試験を実施する。

一般10

課題名・廃棄されている使用済みチッププレートの再生処理技術の開発

代表者:近畿大学工学部 旗手 稔

概要:砕石プラント稼働時間はこのチッププレ-トの寿命によって決定されると言っても過言ではない。使用済みチッププレ-トは消耗品であり、リサイクルされる技術が望まれているが、現状はC級スクラップ(1万円/ton)であることから、A級スクラップ(構成品の加重平均で80万円/ton)化が図れる技術を開発することを計画し、事業化へ進展させることを目的とする。 本研究は環境問題とリサイクルの両面に貢献できる技術であり、以下の項目に従って開発研究を遂行する。

(1)チッププレ-トの構成品を効率的に分解する技術を開発する。
(2)分解後のリサイクルに関する技術の最適化を策定する。

一般11

課題名・水砕スラグと石灰スラッジをリサイクルする技術開発-ブロック製造技術について-

代表者:福山大学工学部 田辺和康

概要:地球資源から発生する水砕スラグと石灰スラッジは、鉄鋼と生石灰を生産する工程で生成される産業副産物であり、本研究では、水砕スラグと石灰スラッジの特性を活かした新商品・新用途の開発に取組む。具体的には、

① 水砕スラグ微粉末と石灰焼成ダストを複合したエコセメントの開発
② 石灰水洗細砂(粒径:2.5mm~5.0mm)を用いた透水性ブロックの開発
③ 石灰水洗ケーキを造粒化した人工骨材を用いた透水性と保水性を有したブロックの開発

について検討を行う。

一般12

課題名・中古建材回収のための住宅の精密解体技術の実証ならびにリュース材流通システム確立のための研究

代表者:広島工業大学工学部 清田誠良

概要:建築物を精密解体することを始めとする資源循環型建築生産方式(建築ライフサイクル)の提案を行い、このライフサイクル実現のための予想される工学・環境学的問題の解決を目標とする。対象は、建築資材の4R(リムーブ、リユース、リサイクル、リデュース)の有機的な関係であり、環境負荷の低減と、その事業化に関する条件整備を明確にすることを目的としている。これらの結果は資源循環型社会の構築に寄与できる。

・期待できる効果
(1)資源循環型社会システムの実現への寄与
(2)適正処理による廃棄物量の削減と、新規資材消費量の抑制による環境負荷の低減
(3)環境問題に対して地域が担うべき支援システムの構築
(4)再生主体の建設産業の創出と雇用の増大
(5)リユース対応型精密解体,リユース部材の流通販売を主軸とした他産業の創出
(6)関連技術の養成(伝統技術の伝承と再生など)

一般13

課題名・有機性廃棄物を対象としたエタノール回収システムの開発

代表者:(株)センタークリーナー 大濱正歴

概要:改良したエタノール回収システムで有機性廃棄物からのエタノール回収実験を行い、有機性廃棄物20kgから90%以上のエタノール3.6?を回収することができた。回収量は、一昨年度に比較して1.7倍量であり、さらにラボ実験でのデーターをもとに、低価格な酵素の利用とシステム化により、コスト低減も図れた。しかし、エタノール回収からの廃液については未解決であるため、今年度は、廃液処理の有効利用や残さの処理を検討する。さらに90%以上のエタノールを脱水して高純度化を行い、車両用燃料であるE3ガソリンに利用できる製品としてのエタノールの回収を検討し、回収に伴うコストの試算を行う。

一般14

課題名・画像解析による飲食容器廃棄物の選別技術の開発

代表者:㈱サタケ 原 正純

概要:飲料容器廃棄物からのペットボトル、アルミ缶、スチール缶、ガラスビンの選別工程、さらにガラスビンの色選別工程においては、アルミ缶、スチール缶の機械選別を除くと手選別が行われており、非効率、高コストである。 そこで、この手選別工程の効率化とコストの低減を目的とした、光学式選別機の開発を行う。 H21年度の研究内容は
① 飲料容器廃棄物の反射画像を計測する光学部の開発
② 取得した画像から対象物を高速かつ正確に判別する画像解析技術の開発
③ 判別結果に基づいた選別技術の開発と装置化
とする。