課題名・使用済みチッププレ-ト再生処理技術の実証研究
代表者:ケムコ商事㈱ 平原 俊二
概要:これまで2年間実験室規模の装置を用いて、小サイズのチッププレートを用いたチップの取外し条件と、チップに付着したロー材の除去技術を開発した。今年度は、実機規模と近い装置と実物のチッププレートを使った実験を行うことにより、事業化に最適な加熱溶融分解条件を検討して決定することとする。 それに加えて、本研究の実験で加熱溶融分解されたベース構成品の内から、それぞれ再生利用できる摩耗レベルのものを選んで、この実機規模に近い装置を使った高周波ろう付け実験(組立実験)をすることにより、A級スクラップより更に付加価値が高い再生チッププレートを製作することの事業化の可能性について検討する。
課題名・生物系廃棄物起源リサイクル製品の需要拡大につながる技術開発―ホウレンソウの土壌病害を軽減する機能性コンポストの商品化―
代表者:久米産業㈱ 藤原 多見夫
概要:これまで、2年間ホウレン草の株腐病・立枯病・萎凋病に対し、拮抗性を有効なコンポストの基礎研究を完了した。今年度は、事業化に向けて、以下3つの研究をする。
1.コンポスト化過程に検索される抗菌の中から、ホウレンソウの主要土壌病害である株腐病・立枯病・萎凋病の病原菌に拮抗性を示す抗菌を選抜し、安全性の確認後、増殖条件を確立し、それをコンポストに馴養して機能性コンポストを調製した。
2.機能性コンポストの施用効果は、プランター規模の栽培評価実験系と施用後1か月経過の土壌微生物の動態調査から認められた。
3.2年間の成果を基に、機能性コンポストの効果をJA全農ひろしま施肥防除展示圃試験(ホウレンソウ専作農家3か所)で実証する。
課題名・放電加工用およびドライクリーニング用の使用済みフィルターの再資源化
代表者:広島大学環境安全センター 西嶋 渉
概要:昨年度、放電加工用フィルター、ドライクリーニング用フィルターともに研究の方向は決まり、今年度は、以下に示す、課題を解決し、次年度は、実証研究へステップアップする事を目指す。放電加工用フィルターについては、現状のスラッジ状態での銅精錬原料としての受け入れや実現性を探る。従って、多量のサンプルを対象に、銅や銅以外の金属についての含有量などの調査を行うとともに、実際に回収と売却の試行を行い、リサイクルルートやリサイクルシステムの確立のための準備も行っていく。また、超音波照射下での磁選などの技術を元に真鍮の単離、精製技術の開発を行う。 ドライクリーニング用フィルターについては、運搬の安全性確保のため、フィルター解体時に小分けしたろ紙等に対して、パラフィンや蝋液などに浸漬して圧縮・冷却・固化する最適条件の調査などを行い、迅速に引火点を上げながら同時に小塊を成型して固形燃料化する一連の技術の開発を行なう。また固形燃料を購入している工場(例として製紙工場や鉄鋼メーカー)への調査を行い、有価で受け入れられる(=売却できる)技術・システムを確立する。
課題名・鋳物ダストのリサイクル技術
代表者:㈱松浦組 柳生 豊晴
概要:一昨年度の調査研究で,各工場から排出された鋳物ダストの性状,及び,セメント固化した場合の安全性を確認した結果,ふっ素・砒素・鉛の不溶化処理を実施することにより,路盤材・ブロック等の建設・土木資材への再資源化が可能であることが判った。昨年度の研究で,鋳物ダストが塗料または銅精錬用シリカ材として利用可能かどうかを検討した結果,鋳物ダストに含まれるシリカ以外の不純物は微細粒子に多く含まれ,分級処理で微細粒子を除去することでシリカ濃度を上げることができることが判明した。 以上の結果を踏まえ,本年度は,工業用シリカ材および山砂代替品への加工技術の開発を行い,より付加価値の高いリサイクル技術の確立を目指す。
課題名・廃ガラスびんのリサイクル技術の検討
代表者:㈲すずか 竹原 直希
概要:広島県内における廃ガラスびんの発生量は約2万t/年であり,そのうち透明および茶色の廃ガラスびんはカレット選別,粉砕され,びんtoびんリサイクル(80%)されている。しかし,その他(4,000t/年)はカレットサンドとしてリサイクルしているものの安価な競合材が多様にあり、用途開発が喫緊の課題になっている。1年目は、廃ガラスびんのリサイクル技術および用途について先進事例を調査し,事業性の見込めるリサイクル技術・用途の絞込みを行った。今年度は用途開拓に重点を置き、次の2点を開発目標とする。
① カレットの特性を活かして暗渠疎水材の代替材にする。(カレットだけを使用した場合のリサイクル量は20t/10a)
②ビーズ化後、路面表示用塗料の反射材として活用する。
課題名・鉄鋼スラグの用途開発-水域環境改善材への応用-
代表者:㈱日本総合科学 高田 詔民
概要:今回提案の研究は,鉄鋼スラグについて,これまでの研究において無機栄養塩類の溶出効果,底生微細藻類の増殖効果,散布による底質改善効果などを確認した成果を踏まえ,現在広く行われている処理手法(ドラムフィルターによる物理的処理+接触酸化型生物処理)に鉄鋼スラグとそれに付着させた微細藻類による処理プロセスを付加することにより,より効率的かつ汚泥の発生しない処理手法となることを検討しようとするものである。
課題名・オゾンナノバブルを用いた汚泥減量化技術の開発
代表者:広島大学環境安全センター 西嶋 渉
概要:排水処理によって発生する余剰汚泥は莫大なエネルギーとコストを要して処理・処分されている。廃棄物最終処分場の残余空間が逼迫するなか,汚泥の有効利用が推進されているものの今だ多くの処理汚泥が埋立処分されている現状がある。 本研究では,汚泥減量化技術のひとつであるオゾン酸化法にナノバブル技術を導入することで,オゾン利用効率,汚泥の可溶化効率の向上を実現し,高効率・低コストな汚泥減量化システムの開発を目指す。 まず今年度は,ナノバブル技術(発生装置)の汚泥処理への適応化を図るとともに,ナノバブル技術の有効性をベンチスケールの実験により評価する。
課題名・産業用バッテリー再生技術開発および再生原理の解明
代表者:広島国際学院大学工学部 渡邊 真彦
概要:携帯電話中継局等の施設バックアップでは24時間365日の安定稼働が要求されるため,これまで古くなって性能が低下した鉛蓄電池は新品に交換されてきた。この交換には多大なコストや環境負荷が付随する為,近年再生品のリユースで対応できないかどうかの検討が進められている。 鉛蓄電池の性能再生法として有望なものとして,充電電圧や電流を時間的に変化させる方法が知られている。しかしながら大規模事業者がこの方法で再生された蓄電池をなかなか導入しない理由として,再生の理論が明確にされておらず,信頼性が得られていないことが背景にある。 従って本件では電気的な方法による鉛蓄電池の再生技術に関してその理論を解明し大規模なケースへも適用できる再生法を確立することを目的としている。
課題名・感染性在宅医療廃棄物および不用医薬品の適正回収・処理にむけての調査・実践
代表者:広島国際大学薬学部 杉原 数美
概要:在宅医療診療が急速に増加していることより、在宅で発生する医療廃棄物が問題となってきている。在宅から発生する医療廃棄物は、法律上一般廃棄物として自治体が回収処理責任を負うことになっているが、自治体により対応が異なり、不法投棄発生などが懸念される。さらに、医療廃棄物としてこれまであまり問題視されてこなかった「不用医薬品」に関しても、在宅においても麻薬や向精神薬など危険な医薬品の使用が増加しており、環境汚染、誤飲そして不正流通等防止のため、適正な回収廃棄処理システムの構築が重要である。 本研究(初年度)では、広島県内において、かかりつけ保険薬局の機能を利用した感染性在宅医療廃棄物および不用医薬品の回収および適正処理システム構築を目的とした調査研究を行う予定である。
課題名・保冷容器の循環利用システムの開発
代表者:㈱REC 阿部 亨
概要:プラスチック製容器包装は70%(重量)以上が埋立て又は焼却処分されている。食品の輸送・保存には発泡スチロール容器が主に使われているが、1回で使い捨てされている問題がある。現在、㈱RECで開発中の食品保冷容器は500回程度再利用が可能であり、廃棄物の大幅な減量化が見込まれる。 この保冷容器による循環利用システムを確立するため、本研究では季節毎に容器を使った小規模な実証試験を実施し、同時に保冷容器導入における環境影響及び経済性を、ライフサイクルアセスメント(LCA)とライフサイクルコスト(LCC)を実行して評価する。これらの情報を製品および技術設計段階にフィードバックし、最適な容器製造及び利用システムを構築する。
課題名・廃棄木くず量抑制のためのLCA思考に基づく木くず発生実態に
関する調査研究 ~収集・運搬プロセスに着目して~
代表者:広島修道大学人間環境学部 三浦 浩之
概要:木材製造業(製材工場やプレカット工場等)の特定の業種から排出される木くずは、主に家畜の敷料、バーク堆肥、チップ原料、熱源等に有効利用されてはいるが、再利用されず廃棄処分されるものも少なくない。この為、現状について実地調査(フィールド調査、関係者ヒアリング調査等)を行い、これを解決できる新たな資源循環システムの提案を行う基礎資料とする。
①製材所廃材や林地残材等、用材生産にともなって生じる木くずの全貌を正確に把握する。
②木材のライフサイクルにおける丸太生産以降の木くず発生状況だけに着目するのではなく、立木の伐採から製材、建築、そして解体後の建築廃材までの全ライフサイクルにおける木くずの発生状況、資源としての活用状況について、その収集・運搬システムを中心に明らかにする。
本調査研究(初年度)は、翌年度以降の木くずの経済的有効利用の事業化の基礎情報として活用できるように十分に検討する計画である。
課題名・海域環境再生利用を目指した廃石膏ボード焼成物を活用した凝集固化材の開発
代表者:広島大学環境安全センター 西嶋 渉
概要:干潟や藻場の造成、海砂採取跡地の修復など現在進められている海域における環境再生には多量の土壌が必要であるが、良質な土壌を確保することは困難である。そこで、中詰材として大量かつ継続的発生する浚渫土を活用し、表面に良質な砂で覆砂をする工法が実用的であろう。しかし、シルト・クレイリッチな浚渫土では工事の過程での濁りや覆砂を行う前に流出するリスクが高く、ある程度凝集固化しておく必要がある。本研究では、既存の多くの固化剤がアルカリ性であり、海苔養殖などへの影響や生物生息場として適していない現状を鑑み、中性脱水・固化材として可能性を秘めた廃石膏ボードから製造される焼成石膏を活用した新規の凝集固化材を製造する。製造においては固化性能が確認されている鉄鋼スラグなど産業から大量の発生する他の固化性能を持つ材料との複合化によって最適な凝集固化材とすることを考えている。
課題名・かき養殖用発泡スチロール製いかだフロートのバイオリサイクル法開発
代表者:呉工業高等専門学校 及川 栄作
概要:発泡スチロール(EPS)のマテリアルリサイクルは加熱によって溶かす(熱減溶)法やリモネンなどの減溶剤によって溶かした後に、別のプラスチック製品に生まれ変わる溶剤減容法によって行われている。 本課題では、リモネンで溶かした使用済みEPSをPS分解菌やPS分解酵素を用いてPSからSMに変換して、SMおよびリモネンを分離精製する方法を構築する方法を開発することを目的とする。具体的な研究内容は、分解酵素を大量生産する方法を確立すると伴に、生産した酵素によるPS分解条件を定め、この分解を連続的に行うことができる酵素固定化バイオリアクター装置を開発すること。この応用として、汚れの着いた使用済みのかき養殖用のいかだの分解に対応させるための研究を行う。
課題名・容器リサイクルプラスチック分離技術の開発
代表者:広島大学環境安全センター 西嶋 渉
概要:容器リサイクルプラスチック(容リプラ)は低密度ポリエチレン(LDPE),高密度ポリエチレン(HDPE),ポリプロピレン(PP)の3種が90%以上を占め,ポリスチレンやポリ塩化ビニル数%の成分が混在している。 容リプラの生産工程で破砕された数センチ角のフィルム(フラフ)の状態で一部の樹脂は比重分離されている。本研究では,フラフから溶融前に表面の塗料を除去し,LDPE,HDPE,PPの3種のプラスチック以外の不純物を除去する技術を開発する。加えて3種類を熱的手法,光学的手法を併用して分離する技術についてもその技術的、経済的可能性を検討する。