平成26年度(2014)実施課題

実証1

課題名・堆肥化に向かない有機性廃棄物の発酵乾燥法によるRPF原料化

代表者:久米産業株式会社 藤原 多見夫

概要:1年目の試験で、発酵乾燥工程は水分低減と臭気削減及び分散性の向上に効果のあることを明らかにし、RPF原料への混合率は10~15%と推察した。2年目の本年は、汚泥に限定せず副資材を含めて使い道の少ない有機性廃棄物をサーマルリサイクルする観点から発酵乾燥試験を実用発酵槽で行い発酵乾燥工程を確立する。発酵乾燥品は基本物性・燃料特性・発熱特性から燃料的価値を評価し、直接乾燥や炭化プロセスを利用した技術より事業性のあるバイオマス燃料であることを実証する。この試験では、原料の評価のための有機物量測定の機会が多く、簡易分析が必要であるが、初年目の成果を踏まえ電磁加熱法による有機物簡易測定法を確立する。発酵乾燥品と廃プラ等を混合し成形する工程は検討の余地が残されているので造粒技術を検討する。

実証2

課題名・使用済み紙おむつの連続式脱水・脱塩装置の開発及び処理システムの実証研究

代表者:株式会社メセナ 藤原 忠治

概要:使用済み紙おむつの中に含まれる吸収済み高吸水性ポリマー(以下SAPと言う)は、その特性及び吸収済み屎尿により、焼却のみならず再資源化が非常に困難である。近年、高齢化などに伴い増え続ける使用済み紙おむつについて、焼却以外の処理を試している自治体の存在を確認しているが、実用的なシステムには今のところ達していない。
㈱メセナは、前年度一般課題による基礎研究にて、使用済み紙おむつに含まれるSAPの電場による脱水・脱塩方法を研究し、その結果、吸収済みSAPからの効率的な脱水・脱塩に成功した。そして、この技術について特許出願を行い、基礎研究を完了した。
今年度は、当該技術を利用し、使用済み紙おむつの連続的な処理装置の開発を行う。また、処理後の紙おむつについては、燃料化などの再生利用を図る。そして、実際に使用済み紙おむつを処理し、これらの実証研究で得られたデータにより実装置及びシステムの設計を行う。同時に、翌年度において導入が予定される企業に対して導入準備を進める。

一般1

課題名・熱水フローシステムを用いるポリエステル/木綿混合繊維製品廃棄物のリサイクル技術

代表者:広島修道大学人間環境学部 川村 邦男

概要:平成25年度は、㈱エコログ・リサイクリング・ジャパン(以下「エコログ社」という。)エコログ社のポリエステル/木綿混合繊維製品のリサイクル技術において広島修道大学の熱水フロー技術を用いて高付加価値再商品化を目指し検討した。この結果、クエン酸溶液中で木綿を含む繊維製品廃棄物を160〜225℃、30〜180分間処理し、グルコースおよび5-(ヒドロキシメチル)-2-フルフラール(HMF)を従来法より格段に低温かつ選択的に生成できることを見いだした(特許出願済み)。また、HMFを活性炭への吸脱着により回収できることを明らかにした。本課題では実用化の前ステップとして、木綿/ポリエステル繊維製品廃棄物を連続的に処理し、HMFの製造・回収・製品化を可能にするため、以下を検討する。
① 既存のHMFの分離精製法の調査を行うとともに、HMF分離精製を中心に反応効率化等についてグルコース等の糖類を含むモデル試料を用いて追実験を行う。
② 最大9 L/h程度で繊維製品廃棄物を処理する中型の熱水フローシステムを製作する。このシステム製作に350万円程を見込む。
③ 本装置に,エコログ社で発生するポリエステル/木綿混合廃棄物を①部分的に酵素処理して得たスラリー、および②粉砕したものをスラリー化し、クエン酸を加えて導入する。温度と加熱時間等を調整し、HMFの最適生成条件を明らかにする。並行して低温化のための触媒を調査および試験する。またクエン酸溶液は循環する方法を検討する。
④ 活性炭を用いるHMFの単離回収法を確立する。活性炭サイズ、グルコースに対する選択性、吸着時間、脱着溶媒等の条件を調べる。吸脱着系にはモニタリング装置を接続する。最終的に上記の熱水フローシステムに接続する。

一般2

課題名・果汁残渣中の機能性成分を活用した加工食品への応用

代表者:三幸食品工業株式会社 元矢 雅彦

概要:機能性成分を多く含む柑橘果皮(レモン・みかん果汁残渣)の有効利用を目的とし、食品原料素材としてゲル加工食品への添加及び健康補助食品に類似する商品開発を行なう。
近年健康志向の高まりから、野菜や果物に含まれるポリフェノールが注目を集めており、特定の成分を含んだサプリメントも数多く市場に出回っている。三幸食品工業が取り組む研究課題の柑橘果皮には、ビタミンC、ポリフェノール、リモネン及びクエン酸等の機能性成分が多く含まれており、これらの成分は果肉より果皮に多く含まれている。急激な高齢化社会を向えている中で、サプリメント摂取で栄養及び健康維持を補うことは極力避けて、医療的にも機能が確認されているポリフェノールを含んでいる果皮を配合した食品開発は十分可能である。また、自然界に存在している色素成分であるカロテノイドなどは古来より人間が摂取してきた栄養成分であり、生理活性効果を有する機能性商品開発を目指すには十分可能な素材である。さらに、老人向けの食事メニューにも提案できると考えている。

一般3

課題名・機能性膜を用いた有機性汚泥の削減システムの開発

代表者:株式会社カンサイ 道方 克成

概要:排水処理等により発生する有機性汚泥は莫大なエネルギーとコストを要し減容化処理が行われているが,廃棄物最終処分場の残余空間が逼迫するなか,未だに多くの処理汚泥が埋立処分されている現状がある。
本研究では,酸素を透過する機能を持つ膜を利用して有機性汚泥を削減するシステムを開発する。本酸素供給技術は,県立総合技術研究所保健環境センターが開発し,これまで排水処理の研究が行われ,汚泥の発生を抑制できることが確認されている。本研究では汚泥を対象として本技術を適用した場合の汚泥削減効果を検討する。また,最適な運転条件を検討するとともに膜処理部のユニット化等の検討を行い,低コストで汎用性の高いシステムの開発を行う。

一般4

課題名・使用済み太陽光パネルのガラスリサイクルシステムに関する調査研究

代表者:有限会社すずか 竹原 直希

概要:太陽光発電システムが設置されてから20年以上経過した現在、家屋の建て替えや取り壊しなどで太陽光パネルが廃棄され始めた。2012年7月から固定価格買取制度がスタートし、日本でも太陽光発電の加速的な市場拡大が始まったため、将来的には、大量の太陽光パネルが廃棄されることが想定される。しかしながら、現状、パネル重量の8割を占めるガラスのリサイクルシステムは構築されておらず、最終処分場の受入容量も逼迫している。
そこで、本研究では、数年後の実用化を目指した、太陽光パネルのガラスに関する一連のリサイクルシステム構築に関する調査・研究を行うものである。主な検討内容は次のとおりである。

一般5

課題名・廃牡蠣殻と廃ガラスを使用した機能性素材の製造及び評価

代表者:株式会社こっこー 中平 隆俊

広島県では、数万トンの膨大な廃牡蠣殻が排出される。先人の努力により肥料・食品・吸着材・タイル・土木資材等の様々な活用法が実用されてきた。しかし、加工技術普及の伸び悩みや製品市場の飽和といった問題から、全量消費が難しく、最終処分量が増えつつある。
一方、㈱こっこーでは廃ガラスを原料とするガラス発泡体の製造販売事業を行っている。しかし、競合製品に対して単価面で相当不利であり、製造コスト削減が必須課題である。この製造コストを押し上げる要因の一つに、高額な発泡材の存在があり、ガラス発泡体業界でも安価な代替品が求められている。
そこで本事業では、発泡材の代替品として、廃牡蠣殻を使用する技術の確立を試みる。試作した廃牡蠣殻由来の発泡材は「ガラス発泡体製造コスト」と「ガラス発泡体主用途である土木資材特性(土質試験)」での評価を以て行う。また、発泡材や土木資材という製品形態だけに囚われず、他用途や新規構造体化方法も見据え、広島県独自の商品開発を目指す。

一般6

課題名・かき殻からの有機酸カルシウムの発酵生産と利用技術の開発

代表者:丸栄株式会社 沖野 靖将

概要:微生物を利用した新たな有機酸カルシウムの効率的生産技術を開発することを目的に,平成25年度において食品工業技術センター保有の乳酸菌株を使用してラボリアクターでの廃糖蜜を基質とした有機酸カルシウム液を得ることができた。
農業現場での有機酸カルシウムの利用は多く,本研究で得られるかき殻発酵有機酸カルシウム液は,無機塩による液体カルシウム素材よりも吸収利用などの観点から優位に選択利用されている素材として期待できることから,本年度は主に農業への利用を目的に研究する。
具体的には,以下の項目について検討を行う。
1)乳酸菌を利用したかき殻発酵有機酸カルシウム液の効率的な生産方法の開発
2)かき殻発酵有機酸カルシウム液の液体肥料としての評価及び市場性評価
3)上記技術を考慮に入れた事業化への問題点の抽出

一般7

課題名・広島県内における新規かき殻利活用システムの実現性に係る研究

代表者:県立広島大学生命環境学部 西村 和之

概要:H25年度の調査研究において、広島県内における新規かき殻リサイクルシステムの構築に必要な情報を整理した。実施内容は、1)広島県におけるかき殻の現状把握、2)かき殻発生抑制手法の検討、3)かき殻の有効利用方策の選考事例の調査と4)広島県におけるかき殻の有効利用方策の洗い出しを行った。
H26年度の新規課題では、H25年度調査で洗い出しを行った発生抑制手法を含む新規のかき殻利活用システムを広島県内で実施する上で必要な要件を整理し経済的評価を含む実行可能性について検討する。
1)かき殻の発生抑制効果を定量的に評価する為に、統計数字で把握された「むき身量」と「かき殻量」との関係を実験的検討により再評価して確定値を定める。
2)広島県内において効果と実現可能性の高いかき殻の有効利用手法について、制度的、経済的な評価を行い広島県内における新規かき殻利活用システムの実現性を評価する。

一般8

課題名・カキ殻とケイ酸資材の混合資材による水稲への肥効特性について

代表者:卜部産業株式会社 大形 修司

概要:牡蠣養殖の盛んな広島県では、年間18万tものカキ殻が産出されており、カキ殻は日本各地で肥料や飼料、水質浄化など様々に有効活用されている。
しかし近年、生産環境や販売需要の変化によりカキ殻が過産出され消費されずに残っており、過剰なカキ殻による様々な問題が発生しているため、カキ殻の新たな利用法の開拓が急務となっている。
そこで、卜部産業㈱ではカキ殻の更なる利用拡大をはかるために一部地域で使用事例のあるカキ殻の水稲利用を行うこととした。利用に際してカキ殻の水稲への効果の確認が必要である。また、水稲の土づくり資材としてのカキ殻の利用向上を図るため、水稲に必要なケイ酸分を含有した『カキ殻混合資材』を新たに開発する。
資材開発のために『カキ殻効果』『ケイ酸効果』『複合効果』を明確にする。
方法としては、カキ殻及びカキ殻と鉄鋼業由来のケイ酸資材のさまざまな配合比率の資材をサンプルとして試験をしていくことで解明していく。

一般9

課題名・製紙原料用カルシウムへの牡蠣殻有効利用

代表者:日本製紙株式会社 大竹工場 門別 恵二

概要:広島県は全国有数の牡蠣生産地であり、その生産過程で排出される牡蠣殻の余剰量が2.3万tあると推定されている。牡蠣殻の主成分であるカルシウムに基づく肥料や食品添加物、土木資材等への利用が行われているが、余剰対策として更なる牡蠣殻の有効利用に向けた研究開発や調査はたいへん重要であると言える。
一方、製紙工場では、クラフトパルプの苛性化工程で使用する生石灰や製紙用填料として炭酸カルシウムを多量に使用している。
近年、紙の中性紙化が進み、製紙用填料としての安価な炭酸カルシウムの需要が増加しており、日本製紙株式会社大竹工場でも年間1万t前後の製紙用炭酸カルシウムを使用している。
 製紙原料用カルシウムとして使用可能な品質と価格を両立できる技術開発を行い、「牡蠣殻填料を配合した印刷用紙」を開発、販売することにより、広島県内で排出される余剰牡蠣殻の有効利用を促進する。

一般10

課題名・ボールミル法を用いた金属水銀処理システムの構築

代表者:株式会社山陽レック 賀楽 幸政

概要:2013年10月に「水銀に関する水俣条約」が採択されたことから,条約発効後は水銀の輸出が制限され,国内に余剰水銀が発生すると考えられる。しかし,現時点では,水銀の安定処理システムが実務レベルでは構築されていない。
本研究では,余剰水銀(金属水銀を対象とする)の環境安全な処理技術を開発する。金属水銀と硫黄をラボスケールの遊星ボールミルで常温反応させ,安定な硫化水銀を生成させる。
具体的な検討項目として,ボールミル法によって溶出基準値を確実に下回る条件の探索(ボール径,ボール数,公転速度,処理時間,水銀と硫黄の混合比),粉じん等の作業環境面における検討,および,現状の水銀廃棄物処理・処分費用等の情報収集,を行う。本法の実用化によって,余剰水銀による環境負荷を減らすことができる。

一般11

課題名・水銀の安定化技術の開発

代表者:JFE環境株式会社 中務 定義

概要:当社では蛍光管リサイクル事業で廃蛍光管を回収し,蛍光粉,ガラス,金属などに分別,リサイクルを行っている。しかし,2013年10月に締結された水俣条約により,今後水銀が規制され,蛍光管など水銀を含む製品のリサイクルが困難になることが予想される。そこで,本研究では蛍光粉中の水銀を安定化し,確実に処理するための技術開発を行う。本年度は,水銀含有蛍光粉の硫化あるいは不溶性基質による水銀安定化技術の検討および水銀安定化後の蛍光粉について,ハンドリング,強度の向上,水銀の溶出を抑制するブリケット化条件の検討を行う。本研究によって水銀含有製品中の水銀を安全に処理することが可能となり,水銀を含有しない部品のリサイクルの継続,推進に寄与することが期待される。

一般12

課題名・鉛蓄電池リユース促進のための性能診断装置開発

代表者:広島国際学院大学工学部 渡邊 真彦

概要:現在様々な機器に蓄電池(二次電池)が利用されている.中でも鉛蓄電池はその歴史の長さや安定・安全性から輸送機器をはじめ施設用バックアップ電源として莫大な量が日々利用されている.また,これらの鉛蓄電池は複数個の電池セルを組み合わせたブロック電池として利用される事が多い.これまで定期メンテナンスなどでは全数を新品へ入れ替える措置がとられる事が多かったが交換コストの増大や環境負荷への配慮から近年リユース電池への期待が高まっている。
リユース品は新品に比べ個々の性能差が大きい傾向があるため、利用時のトラブルを避ける為の診断は非常に重要であるが測定器自体が非常に高価であったり,取扱が難解であったりして現場での利用は限定されており、性能が劣る簡易型の計測器で対応しているケースが殆どである. 本研究では,リユース鉛蓄電池を安全に長期間使う為に必要となる正確な性能診断を,迅速かつ簡便に実施出来る安価な診断装置を開発し,鉛蓄電池のリユース促進に貢献することを目的としている.

一般13

課題名・ 地域木質系廃棄物処理を志向した原料チップ連続供給熱交換ボイラーの開発

代表者:長岡鉄工建設株式会社 坪島 薫

概要:産業廃棄物を処理して出来たチップと木材の廃棄物を燃料として利用した熱交換により、イチゴハウスの夜間暖房に利用する。試作したボイラーを平田観光農園に設置して有効性の実証実験を行う。具体的には平田観光農園で発生した果樹園の樹木を燃料として利用する。
特徴として燃料自動供給装置を設置し自動運転を可能にすることで、夜間の長時間運転ができる等、利用範囲が拡大出来る。また、現在利用しようと考えているチップを製造している事業者はチップの利用状況が少なく殆どバーク位しか利用されていないので、産業廃棄物の利用範囲が拡大することにつながる。